神アプリ 62
その途端、熱い飛沫が顔や舌に降り注ぎ、甘美な電撃に襲われていた。
(はあああ……気持ちイイ……)
頬や額に付着したそれらから刺激臭が立ち込め、その香り包まれたまま舌にへばり付いているものを飲み込むと、灼熱が胃へ落ちる。そこから白い炎が昇ったように身が灼かれ、快感に包まれていた。
うっすらと目を開けてみると、脈動する屹立が眼前に迫っていた。鈴口に見られる白濁液は今にも垂れ落ちそうな状態だ。
「んへぁ……はんぅ、あんぅ……」
恵理は舌で白濁液を掬い取ると、それを皮切りに亀頭をネロネロと舐め回した。彼女に続いて里美も知代も、血の絡んだ肉幹にネットリと舌を這わせていく。
「次は3人の中に出すぞ」
「はああん……」
3人は種汁まみれの顔をうっとりと蕩かすと、舌使いに熱を込めて肉棒の掃除にあたった。
* * *
昼下がりを迎えた住宅街は春の微睡みに呑まれ、長閑な時間が流れているように思えた。閑散に溶ける子ども無邪気な声や洗濯物を叩く音などは、ほのぼのとした時を印象付かせている。
好天にもかかわらず家の中でファッション誌を読み漁っていたその少女は、眠気に囚われそうな身体を、ぐう、と伸ばしてベッドから下ると、ほぼ同時に鳴ったドアチャイムに意表をつかれ肩を竦めていた。
「ふう、ん……」
生憎父親はゴルフ接待で朝から出ており、母親も主婦仲間と一緒に喫茶店で井戸端会議を開いていて、保護者は家にいない。対応すべきか否か悩ましいところだ。
がしかし間もなく、隣の部屋のドアが凄い勢いで開く音がして、思わず聞き耳を立てていた。
軽い足取りの音が階下に下りていく。階段を下りると玄関の前に出るのだが、そこのドアが開く音が辛うじて聞こえた。
「上がってください……」
という姉の声が聞こえる。どうやら来訪者は姉の知り合いのようだ。
軽食でも漁ろうかとベッドから下りたのだが、タイミングが悪かったらしく、踵を返す。
「美苗っ! ちょっとー!」
「ええ……」
折角ベッドに身を横たえたのに、姉に自分の名前を呼び散らされ溜め息が出ていた。先ほどよりも重く感じる体を引きずって、ドアを開け、顔だけ外に出してみる。
「何?」
(ふあああああ……)
姉の部屋の前に、姉と、来訪者と思われる男性が立っていたのだが、その男性を見た瞬間胸が高鳴っていた。
その男性はまだ若く、姉よりも5つ前後歳上と推測できる外見だった。特別格好いいという訳でもなく、優しそうという訳でもなく、かといってキモオタ系という訳でもない、特徴を挙げるのが難しい普通の顔立ちだった。
しかし動悸は激しくなっている。胸が苦しい半面、見ているだけで吸い込まれそうな解放感に近い心地もある。蕩けていく身体にチリチリと何かが燻っていて、まるで痺れているようだった。
「何か飲み物持ってきて」
「ふえ……?」
姉は一方的に告げると、男性に寄り添って室内へ入っていった。
文句を垂れて無視してもいい場面なのだが、マイマスな感情が全く湧いてこない。何か持っていけばまたあの人を見ることができる──それで頭が一杯だ。
(カレシなのかな……)
その可能性は非常に高い。何しろ、親がいない時に家に訪ねて来るのだから。
(まだドキドキしてる……)
こうなれば結婚するまで全力でサポートするしかない。そうすれば隙をみて姉のところに遊びに行き、彼と同じ時を過ごすことができる。
だが、もし付き合っていないのであれば、自分が彼と結婚して──
(──って、私まだ小学生……)
妄想の暴走に赤面しつつ、麦茶を入れたコップを盆に乗せた。
(はあ、早く大人になりたいな……)
姉のように大人びたお洒落をすればあの男性も自分を異性として見てくれるに違いない。もう少し大きくなれば背も伸びるだろうし、姉や母親みたいに胸も大きくなるだろう。そうすればきっとあの人も……
(あ……)
階段を上がって数歩行くと、姉の部屋のドアが僅かに開いていることに気付いた。
このまま飲み物を持って入ると、自分の役目は終了で、以降彼の姿が見れないかもしれない。だがあの隙間から中を覗けば、多少長い間彼の姿を見ることができるかもしれない。
覗き見ることへの罪悪感はあったものの、それを遥かに上回るトキメキが即決に導いていた。慎重に膝を付くと、細心の注意を払って盆を置き、息を潜めて室内を見てみる。
(っ!!)
驚愕のあまり、咄嗟に顔を離していた。見てはいけないようなものを見てしまった気がする。
そもそも親が出ている家に男を呼んでやることなんて、小学6年生にもなれば簡単に想像が付きそうなものなのに、胸のトキメキに舞い上がってしまって全く思い付かなかった。