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神アプリ
官能リレー小説 - ハーレム

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神アプリ 33

「あれ?」

 何度パチパチやっても光が落ちてこない。
 嫌な予感がする……。
 彼はその予感を振り払うべくズカズカと上がり込み、しばしの探索の後、お目当てのキッチンを見付け、流しの蛇口を捻った。
 しかし水が出ない。
 ということはおそらく、ガスも通っていないだろう。

「マジかよ〜……」

 彼は落胆し、出現した“だけの”家から出た。

「やっぱり金がいるのか……」

 そういうことだ。家を出現させることができても生活ができるわけではない。
 彼はその“ただの”家をスマホで撮り、その画像を削除する。すると実物化機能によって出現した新築の家は、忽然と消え失せた。

 * * *

 佐渡徹治(さわたりてつじ)。近・現代文学の分野ではそこそこ有名な人物だ。50を過ぎて髪もすっかり白くなっているものの、彼が行う講義はユーモラスに溢れていて学生からも人気があった。
 その彼が受け持っている四回生のゼミ生は全部で13人。その中の一人、五十嵐翔真が先ほどから大口を開けて欠伸をしているのだが、徹治はそれを咎めることはしなかった。

 13人の内7人が女子大生なのだが、彼女らは欠伸しかしていない翔真に明らかな色目を向けている。その現象は、一つしかないゼミ室の入り口付近に座っていた彼の側を通った途端に起こっていた。

 そんな不思議な3限が終わりを迎える。

「よし、今日はここまでにしとこうか」

 こうして3限のゼミが終わった。時刻は14時20分になっている。
 千夏は翔真と目配せをして、特に仲のいい3人を連れてゼミ室を出た。途端、昨夕に打ち合わせた通り、3人に向かって言う。
 
「あのね、このあと五十嵐くんと遊びに行くんだけど、一緒に行かない?」
「ええ、うそぉ、行くいくっ……」

 加藤綾子(かとうあやこ)、塚本沙織(つかもとさおり)、宮辺景子(みやべけいこ)の3人は紅潮させた顔をパァァと明るくして即答した。

「ふふ。五十嵐くんが女の子はみんなでって言ってたから、残りの3人も呼ぶね」

 翔真が言っていた、という間接的な命令に疑問すらも持たない3人。
 そのことをも不思議に思わない千夏が、あまり深い仲にまで発展していない大野由香里(おおのゆかり)、木下麻友(きのしたまゆ)、
浜谷早紀(はまたにさき)の3人を手招いてゼミ室の外へ誘う。

 外に出た由香里らが千夏の誘いに即答している頃、中では翔真が徹治を含む男性陣に向かって口を開いていた。

「あのさ、俺これから遊びに行くから金がいるんだけど?」



 駅ビル界隈にある女性に人気のアパレルショップをいくつか回っている3人の女子大生がいる。

「ほら、ねぇ、これ可愛くない?」

 知代が黄色のショートパンツを合わせて友人に尋ねる。

「それ、上に何合わせるの?」

 恵理が力量を量るように目を細めた。

「モデルの姉を持つ恵理の眼光が光ってますわ……」

 と里美が茶化した。

「うーん……上は白かな。金色のラメ文字ガラティー。下は黒のニーハイに青系のパンプスでどうでしょうか!」
「上下のバランスが悪い」

 ピシッ、と恵理の右手の人差し指が天を差した。

「上に白を持ってくるなら下は生足にブーツサンダル。超涼しげじゃない? ヒールも高目にして。ほら、知代は美脚なんだからそれを生かさないと」
「おお〜……」

 と里美が感嘆を漏らした。

「っていうか……」

 恵理が適当に見繕い、知代に押し付けていく。

「どうよ?」
「おお〜……」

 姿見の前に立つ知代が他人事のように感心していた。
 しかしそれぞれの値札を引っくり返した後、宙に視線をやり、それを前に戻して、顔を青くする。

「ハハハ……あ、ていうかお腹空かない?」
「空いた〜」

 と恵美が腕を垂らして同意する。
 里美は左手首の内側に視線を落とした。

「もう6時回ってるし」

 18時を回り、いつしか空には星が降っていた。

「じゃあさ居酒屋行こうよ、居酒屋」
「あのね、お酒飲めるの知代だけだから」

 知代の勧めに里美は苦笑する。
 知代は4月上旬の生まれで、今年、法律的に飲酒が許される年齢に至っている。

「イイじゃんイイじゃん。恵理も焼き鳥好きだし、ノンアルコールカクテルもあるし、未成年だって入れるしぃ〜」
「ねぇ、いいでしょう? 里美さぁん……」
「何で恵理まで……」

 里美は頭を垂れるように頷くのだった。



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