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神アプリ
官能リレー小説 - ハーレム

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神アプリ 319

 夜の静寂。本当は街のあちこちで彼への溢れる想いに媚声が漏れ出ているのだが、それは夜の静寂に溶け込ませることが可能なほど密やかなもの。だからその部屋には静けさが立ち込めていた。
 それを、恵梨香が散らした。

「さっきの話、どこまでが本当なの?」

 半ば非難めいた声色だった。冗談を言ったつもりはないのだけれど、そう思われても仕方がない内容ではある。しかし現実だ。

「全部本当だけど……?」

 それが真実──桜子は返答で突き付ける。彼女は彼の女、恵梨香はそうでないただの生徒。

「それが本当なら──」

 恵梨香は静かに呟いて、桜子の前まで足を進める。ベッドに腰掛けている桜子の前で徐に正面を向き、脚を折り畳んだ。

「──お願い! 私も五十嵐先生の女にしてっ」

 身を乗りだし、桜子の両手を握る。そのすがり付くような様子から、彼女が抱く焦燥感の大きさが窺えた。

「……いいよって言ってあげたいけど、私が決めることじゃないからな」
「だ、だけど、どうやったらなれるのか知ってるんでしょ? ね、教えて? 一生のお願い!」

 今度は顔の前で手を合わせる。ギュッと目を瞑っているのは想いの強さを表現しているのだろうか。

「……それも分からない。どうして私が選ばれたのかもよく分かんないし。だけど、恵梨香ならしてもらえると思うの。そうじゃないとあんなことしないとしないと思うし……」

 桜子は放課後の光景を思い出し、頬を赤く染めた。秘部がムズムズと落ち着きをなくし、無意識に膝を擦り合わせる。

「……ねぇ恵梨香、直接頼んでみる?」
「直、接……」

 夜が更けていく。着実に、明日へ向かって────。

 *

「あれ?」

 翌朝の理事長室。登校してくる生徒の姿はまだ疎らだった。彼はそれを見下ろせる窓を背に、入室してきた生徒らを見ている。

「一人多いね。何かのサプライズ?」
「あの……すみません。彼女がどうしても、と」

 弁解するのは桜子。入室してきた3人のうち、2人は予定通りだった。もう1人連れてきたのは桜子の勝手な判断だ。

「どうしても五十嵐先生に話したいことがあるそうで……」
「ふうん……」

 感情の読めない声と共に、彼は予定外の1人へ目を遣った。少なからず怒りの色は見られない。

「津田恵梨香ちゃん、だね。何、話って?」

 途端、恵梨香の胸は蕩けた。彼を見た時からキュンキュンと高鳴っていた胸が、名前を知ってもらえてる嬉しさに爆ぜていた。

「あ、あのっ……私も……私も、先生の女になりたいんです……お、お願いしますっ。五十嵐先生の女にしてください」

 一歩進み出た恵梨香は、そう言って頭を下げた。それは彼女にとって愛の告白。顔を熱くして、心臓をバクバクさせて、期待と不安との間に生まれた緊張に身が震わせる。

「……俺の女が何なのか教えてある?」

 彼が恵梨香の告白を一旦横にし、桜子へ尋ねると、彼女は「いえ……」と短く答えた。

「そっか。それじゃあちゃんと教えてやれ。俺の女が何なのか、昨日博美がお前たちに教えたように」

 桜子が同じ部活の女の子と共に彼の女にしてもらった──そのことからしても“彼の女”とは想像しているような関係ではないのかもしれない。だったら一体どういう関係なのか……恵梨香は無意識に背筋を起こし、2人の方を窺っていた。
 橙子も桜子も頬を赤くして、目元を緩めている。うっとりとした顔で、熱烈な視線を彼へ捧げていた。まるで今から言うことが、それを言えることが、至福であるかのように。

「先生の女とは、先生の……翔真様の、セックス奴隷ということです……そして私、原桜子もその1人……翔真様のセックス奴隷にしてもらいました」
「冴島橙子も翔真様のセックス奴隷です……ああっ、翔真様の愛情を性欲処理という形で注いでもらえる幸せな牝奴隷です……」

 2人の瞳は蕩けていた。その関係性に酔いしれ、身体がゾクゾクと震え上がる。内腿を擦り合わせ、腰をモジモジさせ、彼に参りきっているのが一目で分かる。

 恵梨香は息を飲んでいた。頭の中は混乱状態で、事態を上手く掴めない。ただ不思議な高揚感に見舞われ、顔を赤くするばかりだった。

「ふふ、そう、良くできました。それでこそ俺の女だ」

 彼は愉快げに口の一端を歪める。けれど2人は彼の言葉に「ふぁぁっ……」と嬉しそうな溜め息に吐き、夢見心地に表情を蕩かしている。
 そしてその言葉は恵梨香にも作用していた。関係が何であれ、彼に自分は彼の女だと言ってもらえるのだから、これ以上の幸せがあるだろうか。

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