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神アプリ
官能リレー小説 - ハーレム

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神アプリ 292

 早川結衣(ハヤカワユイ)の意識はフワフワと宙を漂っていた。それは夢見心地の表情としても表れていた。

「何だろう……五十嵐先生、なんかいいよね……」
「うん……いい……」

 クラスメートの津田恵梨香(ツダエリカ)の言葉にも上の空で返す。
 しかし恵梨香の方も心ここにあらずのような状態で、頭がポーッとしているのが顔に出ていた。

「3年生タントーって言ってたね……」
「うん……生活指導のジッシューなんだってぇ……」
「教育実習って、1学期にも誰か来てなかったぁ? ってかさー……生活指導の教育実習ってのもあるんだねー……」
「実習のことはよく分かんないけど、生活指導って授業とかするのかな? 1日1回五十嵐先生の授業があるのか、そこが一番大事かも……」
「だよねー……3年生なんだから五十嵐先生の授業受けたぁい……あ、桜子。おはよー」

 頭の中を翔真一色に染めて体育館から戻ると、クラスメートの桜子が自席に座っていた。彼女も瞳をトロンとさせて、頬杖を付いていて、その人のことで一杯ですと言わんばかりの状態だった。

「ん、ああ、おはよー。始業式どうだった?」
「どうって、うーん……教育実習に来た人がね、何て言うか……とっても素敵な人だった」
「そうなんだぁ……どんな人なんだろー……」

 そう返す桜子だったが、興味がないのは一目瞭然だった。

「ホントホント。私まだ痺れてるもん。桜子も出たら良かったのに。遅刻?」
「ううん、ちょっと立てなくなっちゃって。保健室に担ぎ込まれてた」

 途端、桜子の頬がほんのりと色付く。キュッと寄せられた内腿がモジモジと擦り合わせられている。

「ええ、なにそれ!? 大丈夫!?」
「うん、大丈夫。あっ」

 3人の会話をチャイムが遮った。1限目の始まりが鳴り止むか否かというタイミングで、公民を担当する教師が入ってくる。彼は薄くなってきた頭を軽く掻くと、

「えー、授業に入る前にこれを書いてください」

 と封筒を配り始める。

「生活指導の教育実習で使うそうです。因みに五十嵐先生から『嘘偽りなく回答してください』とありましたので、正直に書いてくださいね」

 それを聞いた瞬間、クラス内の生徒たちの目の色が変わった。気のせいか背筋も伸びている。前の席から後ろへ回されていく封筒がとても丁寧に扱われている。

 結衣も前の席から回された封筒を両手で受け取り、自分の分を取って、両手で後ろへ渡す。ちょうどその時、封筒の中を取り出した1人から質問が出た。

「先生。これ、先生も見るんですか?」
「私は見ません。五十嵐先生にそう言われてますから」

 見られたらマズいものなのだろうか、などと疑問に思いながら結衣も封筒から紙を出し、広げた。

私生活アンケート

 紙の上部にはそう書かれている。実態調査というものだろうか。その下には質問項目と、それぞれの回答を書くであろう場所を示す罫線が引かれていた。

恋人はいますか?

 最初の質問項目はこれ。いかにも生活指導にもってこいの内容。この高校には恋愛を禁止する校則や風潮はないものの、生活指導の教師にわざわざ教える義理はない。それ以前に、結衣に恋人はいなかった。

いません

 と回答。そして、ふと桜子の方を窺う。彼女には昨年の12月から恋人がいると聞いている。果たして彼女は素直に回答しているのだろうか。もし自分が桜子だったら──素直に回答しているだろう。

男性経験はありますか? ある場合、何人ですか?

 結衣の頬に朱が走る。直球もいいところだった。これは明らかにセクハラではないだろうか。
 他の先生、特に男性教師が見るのかどうか質問した生徒の気持ちがよく分かる。もし翔真の他にも男性教師が見ることがあるなら空欄にしておきたい。

ないです

 顔が熱くなっていた。男性経験など、あってもなくても知られるのは恥ずかしい。告白する相手が自分が通う学校の教師ともなれば尚更だ。けれど翔真しか見ないのであれば、いや、仮に彼以外の異性が見ることがあっても正直に書かなければならない。それが翔真からの指示であり、彼の指示に従うのは義務。

自慰(オナニー)はしますか? する場合、週に何回くらいしますか?

 いよいよ顔から火が出そうになる。恥ずかしすぎて、シャーペンを握る手が震えていた。

だいたい2回くらいです

 これを見たらエッチな女だと思われてしまうだろうか。嘘を書いていいならゼロと記したいところだけれど、それは出来ない。何故なら、正直に答えるのが義務だから。

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