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神アプリ
官能リレー小説 - ハーレム

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神アプリ 258

「う〜ん、女としてはイケてる、と思う」

 着ているのは黒ボーダーのワンピース。紺の半袖パーカーを羽織り、細い赤のベルトが腰のくびれを形作る。
 長い脚は生で見せ、足元は茶色のブーティサンダルと涼やか。足の先まで抜かりなくオレンジのペディキュアが塗られている。

「ホント? 杏奈より?」

 竹下杏奈(たけしたあんな)はクラスでも人気の女の子だった。男性陣から聞いたわけではないが目の色があからさまだった。

「杏奈とじゃ種類が違うっていうのかな……ほら、女の子っぽいし。明美はどちらかというと弾けた明るさが魅力というか……」

 コーディネートからして種類が違った。白い肌着の上には黒の半袖ブラウス。フレアスカートは黄色地に花柄。短めのソックスに洒落た青いスニーカーという飾り気のないところが控え目な印象を与える。
 セミロングの黒髪はストレートで、清楚の定番以外のなにものでもない。幼顔の容貌がまた初々しいほどの無垢を主張している。

「五十嵐くんのタイプは……そっちかぁ……」
「え? 何?」
 
 明美が項垂れ、由紀はきょとんとしていた。
 白のブラウスにあわせたミニスカートは水色のフレアタイプ。サンダルはベージュのプラットフォーム・シューズで、大人びていた。
 髪は黒くロングだが緩く巻かれていて、上品なイメージを抱かせる。目鼻立ちが整っているのは元々だが、薄く化粧をしているから美人が際立っていた。
 それが今の小笠原由紀。

「どうやら五十嵐くんのタイプじゃなさそうだなあ〜……」
「そ、そんなことないよっ。ギャルは苦手って言ってけど、明美はまだプチじゃないっ」

 明美は自分の爪と由紀の爪を見比べ、また項垂れた。

「こ、これは職場の規定で塗ってないだけでっ、そ、そう。見た目より中身だって。ね?」
「それ、自分の中身がいいってこと?」
「え!? そういう意味じゃなくて……なんていうのかな……」

 フォローの言葉を探す由紀をジト目で見ていた明美は、途端、中身の違いを見付け手を伸ばしていた。

「これだっ。確かに中身違うわ」
「こ、コラっ」

 ブラウスを内側から押し上げている双丘を明美はこれ見よがしに揉む。そしてやはり項垂れた。

「そうか……五十嵐くんはおっぱい星人なのかぁ……」
「あ、あのねえ……一応翔真のために言っておくと、違うよ?」
「ふ〜ん、だけど挟んであげたんでしょ?」
「ちょっと何言ってんのよっ……」

 赤く染まる由紀の白い頬。ひそひそと声を潜め恥じるのが逆に動かぬ証拠と言えた。

「図星だぁ。あれってどうなの? 五十嵐くん気持ち良さそうに──あっ」

 由紀の向こうの壁際に翔真が見え、明美は質問攻めを中断した。

「何?」

 杏奈の背後を翔真が過ぎると杏奈が席を立った。2人がそれぞれに手にしてるグラスは共に空だ。
 由紀はばつが悪そうに視線を落としていた。

「ヤバっ。取られるっ」

 明美は急いでグラスを空け、杏奈と挟み撃ちにするように翔真の元へ向かっていく。
 由紀はその後ろ姿を見送ることができない。明美を応援する気持ちはある。けれども翔真の姿を目に入れるのを避けたかったから。

「ここいい? 翔真くんに付いていく口実ができるから席を取上げておいた方がいいと思うんだけど」

 コト、と側にグラスが置かれた。その手の元を辿って見れば、少し照れ臭そうに頬を赤らめている紗弥加の微笑みがあった。

「ああ、紗弥加……久し振り。どうぞ……って、明美のことバレてるんだ」
「あんなにベッタリしてたら流石にね」

 紗弥加の言葉に苦笑する。あちらの様子を確かめることはしないが。

「変わってないね」

 昔の紗弥加と目の前の紗弥加が無理なく重なった。
 黄色いワンピースは膝丈ほどで、裾に白い刺繍が複雑に入っていた。羽織っているのは白のブラウスで、靴は茶系統のブーティサンダル。服装は年齢相応だが、おかっぱ頭を少し短くしてシャギーを入れた黒髪は昔のままだ。

「中野くんって、その髪型が好きなの?」
「んっ……ん? どうして?」
「さっき聞いたよ? 付き合ってるんでしょ?」
「あ……うん。んっ……もう、誰に、聞いたの?」
「誰だったかな? もうみんな知ってるっぽいよ?」

 紗弥加の頬がぽーっと朱を深くしていく。
 恥ずかしそうなのが初々しいと、由紀はクスリと笑みを溢していた。

「そっか、っ……だからちょっと訊きたいことが、あるんだけど、いっ、い?」
「だから? ……うん、いいよ」

 不可解な順接が引っ掛かるも先を促していた。

「どうして翔真くんと別れたの?」

 それはあまりにも唐突で、心の準備が出来ていない。無関係な方向に飛んだ話題にビクリと肩を竦めていた。

「ど、どうして、そんなこと……?」

 そしてハッとする。どうして紗弥加は翔真を名前で呼んでいるのかと。高校生の頃は特別親しいわけではなかったし、卒業した後も彼の口から紗弥加の話題など出たことがない。

「別れる理由ってどういう、のがあるのか、知ってお、きたくて……知っていれば回、避できるかもしれ、ないし……嫌なら答え、なくても……いきなり、ごめんね……」

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