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神アプリ
官能リレー小説 - ハーレム

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神アプリ 176

「っんだよ、まだやってねーじゃん」
「フルチンなら楽だったのによお」

 数は2人。両方とも色黒で、逞しい腕っぷしを見せびらかすようなタンクトップ姿。1人は短髪を金色に染め、サングラスを額に乗せている。もう1人は剃り込みを入れた坊主頭で、金ぴかピンの下品なネックレスをしている。

「まあ、いいか。あいつヒョロヒョロだし」
「ねえカノジョ、そんなやつほっといて俺らと遊ばね?」
「え?」

 早苗が自分を指差すと、二人組はうんうんと頷きながら距離を縮めてくる。

「はあー……やっぱめちゃくちゃ可愛いじゃん」
「まさかこんな子が? 堪んねえな」

 早苗は反射的に翔真の服を掴み、身を小さくする。

「な、何がですか?」
「ビッチなんだろう? そいつのヒョロチンじゃ物足りねーから、あんなに腰をクネクネさせて誘ってたんじゃねーの?」
「可愛い顔してるのに、全身から抱いてくれってオーラがプンプンしてるよ。俺のマグナムが面倒みてやるから安心しな」
「マグナム?」

 訳の分からない早苗は心の底から首を傾げた。すると翔真が首を捻り、

「掌サイズの短小なんだとさ」
「あんだと!?」

 坊主頭が声を荒らげ、翔真を睥睨する。メンチを切る、というやつだ。

「だいたいお前、いつまでいんだよ。空気読めねーの?」
「その子は俺らに任せてさ、さっさと帰れって」
「ふん、お前らじゃ5分も持たないよ」
「ああ!?」

 よく分からない会話の内容に早苗はちんぷんかんぷんだった。けれど険悪な雰囲気であることは感じており、翔真の後ろで震えている。体格的には翔真の方が圧倒的に劣勢なのだが、彼しか縋るものがなかった。

「てめえは5秒ももたねーよ!」

 金髪の男が右手の拳を上げ、右足を蹴り出す。同時に早苗の前から翔真が消えた。

「この辺かな?」

 次に早苗が翔真を見たのは、金髪の男の背後にいるところ。何か呟いたと思ったら、男の首元に手刀を振り下ろす。

「くはっ──」

 男は、まるで彼の立っているところだけ重力が強くなったかのように、地面にのめり込む勢いで地に伏せた。

「て、てんめぇっ」

 坊主頭が右腕を引く。その間に翔真は懐に潜り込んでおり、鳩尾に拳を叩き込む。

「ぐふぉ!」

 坊主頭は膝から崩れ、腹を抱えた。その背後から首元に、狙い済ました手刀が襲い掛かる。
 こうして、ガッチリした体躯の2人の漢が地面に伏せて伸びている、という状態ができあがった。

 早苗はあまりの出来事に、口に手を寄せたまま呆然としている。圧倒的に劣勢だと思っていた状況が目にも留まらぬ早さで180度変わっているのだから無理もない。翔真の動きはまさに、神速だった。

「あ、あの……翔真さん……?」
「ん? 金は取らないよ。名前を見てるだけ」

 確かに翔真は2人の財布から免許証を抜き取っただけで、残りはバナナの皮でも捨てるように無造作に放ってしまった。免許証も一瞥程度に見ただけで、やはりポイっと捨てている。

「そうじゃなくて……」
「ん?」

 翔真は早苗に受け答えしながらスマホを弄っている。

「ありがとうございましたっ……あの、凄くカッコ良かった、です……」
「ありがとうもなにも、早苗は俺の女なんだから守るのは当たり前だろう?」

 スマホを弄りながらの返答だったが、早苗は感動のあまり目頭を熱くさせていた。彼を見る目ははたから見ても、完全に心の奪われている。

「早苗の全部が俺のものだ。他の男にこの身体を触られたくないだろう?」

 スマホを仕舞った翔真は早苗の肩に腕を回した。早苗は甘えるように寄り添い、頬を赤らめた。

「はい……」
「じゃあ続きをしようか。早苗が他の男を狂わせないように、普通のデートを」
「やん……私が誘うのは翔真さんだけだもん……」
「お前がそのつもりでも、お前のいやらしさは男の視線を釘付けにしてるんだよ。まあ俺としては、それだけの女に性欲処理させてるわけだから悪い気はしないけどね」
「またぁ……私より可愛い子たちにもしてもらってるじゃないですか……」

 翔真たちは何事もなかったかのように繁華街への通りへ出ていく。ガタイのいい、勃起不全と化した2人の男をそのままにして。



 19時頃。夏至を過ぎて間もないこともあり、この時刻でようやく日が沈んできたと実感できるほどまだ外は明るい。けれどその一室は外界からの光を遮断できる造りになっていて、室内はムードを引き立てる柔らかなオレンジの照明が灯っている。
 ダブルベッド、ソファ、テーブル、テレビ、と目に付く家具は数少ない。ハンガーラックやポットなど細かいものもあれど、ラブホテルではよく見られる部屋という感じ。この時間にそこにいる2人は、ソファの上でじゃれ合っていた。

「翔真さまぁ……翔真さまぁぁっ……」

 横から抱き付いている早苗は形振り構わない様子で甘えている。大人びたコーディネートが似合う顔立ちがトロトロに綻びきっていて、むしろ女子高生より幼く見えてしまうほど。タガが外れたように好意を剥き出しにするその姿は人目がないからこそで、早苗のこのギャップには大半の男はイチコロだろう。

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