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神アプリ
官能リレー小説 - ハーレム

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神アプリ 173

 美苗の母親に、それぞれの娘がいつも遅くまでお邪魔しているということで、日頃のお礼を兼ねたお茶会でもしようということになった。それが今日なのだ。お茶会といっても、そこそこ名の知れたケーキ屋で話をする程度のものだが。もちろんお礼を兼ねているので、美苗の母親の分を他の3人で割り勘することになっている。

「やっぱり悪いですわ。私は何もしてないのに」
「まあまあそう言わないで?」

 などと決まりきったやり取りをしながら席に掛けるママさんたち。娘同士が仲良しなので彼女たちもそれなりに関わりを持っており、こうした機会を持つのは初めてのことではない。

「けれど……彼、みなさんのところにも行かれたんでしょう?」

 美苗の母親が訊くと、他の3人の顔があっという間に綻んだ。

「彼って、五十嵐翔真くん?」
「ええ、もちろん」
「彼なら“いらっしゃった”わ。優子が懐いて遅くまで家にいることがあるけど、遊ぶのも子どもの仕事だからおおめに見てやってくれって。今時の若者にしては本当にしっかりしてるお方ねぇ」
「そうそう。翔真くんのところにいるなら安心だから、むしろ1人の時間が増えてつい羽目を外しすぎちゃうのよね。この前なんて、夕方近くまで昼寝しちゃったもんだから、夕飯を手抜きしちゃって」

 優子の母親も玲奈の母親もクスクスと上品に微笑む。娘が遅くまで大学生の青年のところに入り浸っているというのに、何の懸念も抱いていない。たとえ間違いがあったとしても、相手が彼ならそれは最早“間違い”などではないのだ。

「美咲さんのところには……あら? どうかなさったの?」
「い、いえ。ちょっと熱くて……」

 顔を赤くしている美咲は、美苗の母親に指摘され慌ててジャケットを脱いだ。雪のように白い肌の腕が露になると、見ただけでも想像できる張りや質感に他の3人は心の底から羨望を向けている。

「か、彼ならうちにもいらっしゃいましたよ? 本当に素敵な人ですね……」
「そうでしょう。もっと早くにお知らせしたかったんだけど」
「……どういうこと?」

 と、美苗の母親の発言に優子の母親が詳細を求める。

「彼があの子たちの面倒を見てくださっているのは、もう随分前からなのよ。けれど彼、みなさんに余計な心配をかけるかもしれないからうちで遊んでることにしといてやってくれって仰ってね?」
「あら、そうだったの?」
「ええ。だから私はご馳走になるようなことは何も……」
「それはそれよぉ。こっちはその気で来ちゃったんだから……ねえ?」

 優子の母親が振ると「そうよそうよ」などと言って玲奈の母親が同調する。美咲は顔色を仄かに赤くしたまま、人知れずモジモジと腿を擦り合わせている。

「それにしても翔真くん、本当に素敵よねぇ。彼のような人にうちに来てもらいたいものだわ」
「あら、それは譲れませんわ。翔真くんには是非優子をもらってもらわないと……」
「美苗だって負けてませんわ。今のうちからいい関係を築いてくれるといいんだけど……」
「ふふ、この調子だと翔真くん、一家に1人はって感じね」
「ホントよぉ。爪の垢を煎じて旦那に飲ませたいわ。今度いらしたときに爪の垢をいただこうかしら」
「うちは長男にも飲ませないといけないわねぇ。面倒見がいいところ、見習って欲しいわ」
「そうよねぇ。娘たちの面倒を見てくれて、私たちのゆっくりできる時間が増えて……もう翔真様サマだわ」
「ええ、ホントに。翔真様には足を向けて寝れないわねぇ」
「翔真サマ……」

 ポンポンポン、と会話が弾んでいたところに、沈黙していた美咲のその呟きがポツリ、と入り込む。身体が震えているのか、大玉の装飾品を連ねた首飾りが微かに音を立てていた。

「やっぱり変よ、美咲さん? 具合でも悪いの?」
「いえ、全然。あ、あの、そろそろ頼むもの、決めませんか?」

 赤いルージュに彩られた唇。その隙間から温い吐息を溶かし込む美咲の、ソプラノトーンの声が弱々しく漏れる。

「あら、そうね。ウェイターの人が怖い顔でこっちを見てるし……」

 みなの意識がメニューに向かい、美咲はなんとかこの場を凌げた。しかし次にいつ彼の話題が取り上げられるか分からないので、まだ油断はできない。



 名の知れたアパレルショップや大型書店、カフェなどが並ぶ、大通りに面したショッピング街。片側三車線の大通りが交差する交差点の角には有名な百貨店が看板を提げて競合している。その方角から四方へ分散、または流入していく人波の中に、その2人はいた。
 大人びた美少女が青年の腕に縋ってベタベタとしている、普通のアベック。けれどその歩調はかなり遅く、覚束ない足取りの少女に青年が合わせているようにも見える。

「んはああっ……」

 少女の足が止まり、その口から艶かしい吐息が漏れた。その湿った息遣いに薄桃色の唇は艶めいており、若々しい張りに色っぽさを加えていた。
 彼女の唇が微かに動くと、上手く聞き取れなかったのか、青年が耳を寄せていった。

「イかせて……イかせてください……翔真さん……」

 翔真の耳元で囁かれる濡れた声。女子高生の甘ったるい声色と、それが告げる淫らな哀願は、翔真の嗜虐嗜好を心地好く掻き乱す。

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