神アプリ 102
「──お兄ちゃんにもらった紐パンだよ……?」
スカートの前の裾が美苗の臍を越える辺りまで上がっただろうか。彼女の大事な所を覆う黄色い布の一部と、太腿の外側に垂れた黄色い紐の端が、俯瞰した奈保の目にも映った。
(ヒモパン、て……)
美苗はいつからこんな大人びた、エッチな下着を着用しているのだろう。自分と同じようにランドセルを背負って学校に通い、クラスのみんなと話したり授業を受けたり一緒に遊んだりしていたその下で、こんな卑猥な下着を着けていたのか。それはまるでイケナイアソビのようで、そう考えてしまうと、奈保まで変な気持ちが昂ってくるように思えた。
自分と同じように美苗を窺っている優子や玲奈は、美苗のように妖しい赤らみを広げている。興奮しているのか、口を緩く開いて、肩で息をしている。それを見てから、自分も口で呼吸をしていることに気付いた。
「そのままだぞ? 次は……赤いボーダーパンツの玲奈ちゃん」
「は、はい……」
名前を呼ばれた玲奈が美苗から彼の方に目を向ける。その視線の流し方が妙に艶かしい。
「今日のパンツ、見せて?」
「は……はい……」
玲奈への発言なのに、奈保の背筋がゾクゾクとざわついた。彼の発言は端的だが、“美苗のように”という省略部分を自分自身で補完してしまい、その恥ずかしい命令に身体が震えていたのだ。
自主補完は玲奈もしていたようで、彼女は青いデニムのミニスカートを上へずり上げた。
「んああ……今日は、水色です、ん……」
奈保からはショーツのデザインまでは見えなかったが、玲奈の身体が震えているのは分かった。その震えが恐怖から起こっている戦慄きではないことは、目元を緩めて頬に朱を差している玲奈の表情を見れば一目瞭然だ。
「じゃあ次。うーん……クリーム色? のパンツの優子ちゃん」
「はっ、はいっ……」
ぶわっ、と耳まで赤くした優子は、ダブルフリルの黒いフレアスカートの裾を摘まみ上げた。そうするように言われることは流れから察しが付き、奈保も同じようにしていただろう。それは諦念ではなく、彼の期待に応えたいという思いからだ。
「きょ、今日は……白です……」
優子は膝を寄せ、ピクピクと震えていた。しかしその顔はやはり、どこか気持ちよさそうに綻んでいる。荒い呼吸に薄桃色の唇が湿り、妖しい艶を帯びていた。
「最後は──」
(はあああ……)
名前を呼ばれたらショーツを見せなければいけない。彼に気に入られたいという思いが、その命令の実行を自分の中で義務化している。恥ずかしくて仕方がないのに拒絶はしたくない。むしろ身体中を駆ける悪寒は心地よく、命令を実行“できる”ことを喜んでいるようにさえ思える。
「オレンジ色のストライプのパンツの、奈保ちゃん」
「はいっ、ぃぃん……」
ドックン、と胸が高鳴った。瞬間、カァァと顔が燃えるように熱くなっていた。その熱が頭の中に浸食し、クラクラしてくる。
「今日は……んっ、白、です……」
赤黒のチェックのミニスカートを捲り上げると、隠されていた場所に彼の視線が突き刺さった。
(み、見られてるぅぅっ……)
瞬間、背筋にビリビリとくる刺激が走り、身体中が小刻みに震えていた。前の3人と同じように、足の先の方までビクビクしている。
(何これ……気持ちいい……)
異性の前でスカートを捲り上げ、穿いている下着をマジマジと見られている。そのことによる恥ずかしさが、あるいは彼の視線が、恐らく両方とも、堪らない快感だった。
「優子ちゃんのとちょっとデザインが違うね」
(も、もっと見て……)
彼の目が優子へ移ると、奈保は咄嗟にそう思ってしまっていた。それを自覚して恥ずかしくなったが、彼の視線を求める思いは確かにある。
(あああ……どうしよう……)
気付けば腰が揺れていた。それも小さな円をゆっくりと描くような、どことなく卑猥な腰付きだ。しかもそうして動かすことで、クロッチの辺りが濡れていることに気付いた。
(こ、こんなの……みんなに見られたら……)
そう思って横を窺ってみる。するとどうだろう。他の3人もクネクネと腰を捩らせている。自分と同じように、彼の視線を誘っているのだ。