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まおーに任命されました。
官能リレー小説 - ハーレム

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まおーに任命されました。 89

「俺が偽者だって?」

「はい。ですから、どちらが本当の魔王様なのかをハッキリさせるために、アメリカに来て欲しいのです」

 成る程、こいつらにとってアメリカにいる偽者が本物だから、偽者と思っている本物の俺にご足労願うということか……。

「お、お兄ちゃん……」

 友梨の顔は青ざめていた。

「何だ? 心配してくれんのか?」

「ううん。英語ペラペラだ、と思って……」

「いやいや、ずっと日本語ですが?」

 こんなときに意味不明なこと言ってんじゃねーよ。

「では、行きましょうか」

「は? 今から?」

「何か問題が?」

 何ていうか……強引だな。
 そもそも、本物の俺がどうしてこんな目に遭うんだ?

「……いや? ただし、俺が本物の魔王だと証明したあかつきには、俺に無礼を働いた組織の代表として、お前とお前に何かしらの罰を受けてもらう」

 ビシッと指指して言ってやったが、スーツの二人は何の反応も示さない。
 それどころか、

「証明できたなら……魔王様として、もう一度命じてください」

 と、俺が偽者だと信じて疑わない返答を、微笑混じりに返したのだった。



 こうしてアメリカに着いたわけだが……。
 どうやら友梨が言っていた英語ペラペラというのは本当らしい。
 正確には、回りの言語が全て日本語で聞こえ、見えるのである。
 しかも俺が日本語で応答しても相手ができているということは、相手には英語で伝わっているということ。
 これも魔王の能力なんだろうか……。
 そんなわけで俺は留置所のような場所に突っ込まれた。
 扱いが酷すぎる。
 今のうちに紋章に触れてっと……。

「お待たせし……っ!?」

 俺を呼びに来たポニーテールが驚愕している。
 鉄格子を外して捻っていたせいだろうか?

「少しは魔王らしく見える?」

 と、嫌味を投げてやる。
 ポニーテールは驚きの表情を直せないまま、俺を何処かに誘導した。
 因みにポニーテールは日本人だ。
 組織内の日本支部代表らしい。

「あちらに立ってください」

 言われた場所に立つ。
 魔王だと証明する方法は至ってシンプル。
 銃で撃たれるだけだ。
 つまり俺は的として指示された場所に立ち、魔王を騙っているスキンヘッドが構えたライフルで撃たれるのだ。

「では魔王様ぁ、お願いします……」

 ポニーテールは猫なで声でスキンヘッドに迫った。
 インテリを彷彿させるレンズの向こうの瞳をしっとりと濡らし、軽く腰をくねらせて。
 あいつの中ではスキンヘッドこそが魔王であり、アイツに抱かれることが幸せだと心の底から思っているのだろう。
 だがそれが覆ったとき、果たしてどうなってしまうのやら……。
 向けられている銃口。
 スキンヘッドが引き金に指を掛け……引く。

「なっ!?」

 スキンヘッドは目を見開いていた。
 確かに硝煙は上がっている。
 かしし銃口を抜けた玉は俺の胸を貫くことなく、当たっただけで、落ちた。

「終わり?」

 胸をポリポリ掻きながら聞く俺に、スキンヘッドは

「バカなっ……」

「バカはお前だろう? 魔王のフリはさぞ楽しかっただろうな?」

 歩み寄る俺。
 腰を抜かすスキンヘッド。
 怯え、壁へ後退るポニーテール……。

「でも、その罪は重い」

 腰を抜かしてなお、スキンヘッドはライフルを撃ちまくった。
 何発かは命中しているが、こそばゆいだけ。
 俺にそんなものが通用するとでも?

「いい加減気付けよ」

「うぎぁあああああ! ぐぐぅ!」

 スキンヘッドの絶叫する。
 俺が蹴飛ばした腕はあらぬ方向に折れ曲がってしまっていた。
 次は足を潰してやろうか。

「おあああああーーー……っ!」

「クズめ」

 これでこいつは五体不満足。
 虫けらのように這いずることしかできない。
 俺はライフルを拾い上げ、ポニーテールに銃口を向ける。

「ひぃぃっ……」

 怯えきったポニーテール。
 今、あいつの中の常識は覆ったのだ。

「誰が魔王か判っただろう?」

「は、はい、はぃ……あなた様が、魔王様です……」

「謝るなら今のうちだぞ?」

「申し訳ありませんでしたっ!」

 ポニーテールは即土下座し、深々と頭を下げる。
 今のうちに紋章に触れてっと……。

「まだ頭が高いなぁ」

 ポニーテールの後頭部を踏み、グリグリと踏みにじる。

「もっ、申し訳ありませんっ……」

 頭を踏まれて謝罪を繰り返すポニーテール。

「じゃあ改めて命じよう。俺への無礼に対して、お前には何かしらの罰を受けてもらう」

「何なりとお申し付け下さいませっ」

 頭から足を下ろしてもポニーテールは額を床に付けたまま、魔王の怒りをかったという恐怖に戦慄していた。

「顔を上げろ」

「は、はいっ……ひぃぃっ……」

 未だ向けられている銃口に小さな悲鳴を上げる。
 震えに歯がカチカチ鳴っているのが俺の耳にまで聞こえていた。

「で? お前はあのハゲとヤったのか?」

「ああ、はい……抱いていただきました……」

「『抱いていただきました』? 誰が魔王かまだ判らないのか?」

「い、いえっ! あの、はっ、ハゲと、ヤりましたっ……」

 ずれかけの眼鏡をそのままに、ポニーテールはさっきまで絶対なる存在だと信じていた、今はただのハゲをチラチラ窺いながら口走る。

「じゃあお前はあいつが偽物だとも疑わずに、甘い声でアンアン啼いてたのか。ただの淫売……いや、それ以下だな」

「ぅぅぅ……」

 悔しそうに唇噛むポニーテールの目付きは変わっていた。
 それは俺からの蔑みに対するものではなく、ハゲにいいように扱われたことへの雪辱とハゲへの侮蔑。

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