まおーに任命されました。 131
正確には、スタッフの脇腹を踏みにじっていた足に体重を乗せきって、立った……と言った方が適当かもしれない。
それにより、フックを外したスカートがサッと足首まで下り、メイリンは器用に片足を抜く。
そしてその足を床の上へ戻した。
足首にスカートが纏わり付いたままのもう一方の足は、依然としてスタッフの脇腹にヒールを突き立てている。
「ねぇ、痛い?」
「はい……痛いですぅぅ……」
呻くように答えるスタッフに、メイリンがいつかの微笑を聞かせながらヒールによる蹂躙を強めた。
「ふふっ。でも気持ちイイって言って? そしたらご褒美上げるからぁ……」
「ん゛ぅぅっ、はっ、はい……気持ちイイっ、ですっ……」
それを聞いて漸くメイリンは足を浮かせ、スカートから抜き、次は爪先の方を押し当ててグリグリとなじる。
「あううっ、痛っ……痛い……」
「もおっ、さっき教えたばっかりなのにぃっ」
「ああっ! 気持ちイイです魔王様ぁああ!」
その絶叫に対し、メイリンは何か言いたそうに俺を見遣った。
確かにメイリンの言葉を俺の言と捉えろとは言ったが、魔王と思え、とまでは言っていない。
メイリンの言うことをきけって命じた方が良かったかな……?
「今はメイリンの好きなようにしたらいい。どんな命令をしても良いし、好きなだけイっても良いし、オナニー……は必要ないか」
「はぁぁんっ、魔王様ぁぁっ、ありがとうございますぅぅ……」
メイリンは早速自ら割れ目を擦りつつ、スタッフの脇腹を蹂躙していた。
「はんぅぅッ……ねぇ、私のこと『お姫様』って呼んでぇ? 牝豚のお姉さぁんっ……」
な、何故にお姫様……?
「んあッ、ぁぁッ、おッ、お姫様ぁぁ……判りましたッ、ぐぅっ……」
俺が小首を傾げるも、従うしかないスタッフは脇腹をグリグリされながらその言葉を紡ぐ。
するとメイリンは満足げに、艶やかな笑みを浮かべたのだった。
「ふふふっ……ねぇ、痛い? ここ」
「きっ、気持ちイイです……ぅっ、お姫様……」
学習したようだ。
まるで躾だな……。
「ああん、良い子ぉ……はしたないだけだと思ってたぁ……」
メイリンは蹂躙を止めると電マに……いや、その傍にあるクリキャップに手を伸ばす。
それはスタッフに使っているクリキャップと一緒に入っていた、少し大きいサイズの物で、二つある。
その一つを手にするメイリン。
陰核のサイズで使い分けるのと思っていたが、違うのか?
あれこれ考えていると、不意をつくように千奈美が擦り寄ってきた。
「メイリンが羨ましいのか?」
「ぁぁ、はい……私もイきたいです……イかせてください、魔王様ぁぁ……」
「そうだなぁ、同じオモチャなんだから平等に扱ってやらないとな……」
俺は都合良く床に置かれた乳首クリップを見つけ、手を……って、え?
「ああん!」
スタッフが嬌声と判る声を上げ、拘束された体を無理矢理跳ね上がらせる。
片方の乳頭には何故かクリキャップが吸い付いていた。
俺が取ろうとした乳首クリップは、クリキャップを付けるためにメイリンが外した物だったのだ。
「ふふっ……こっちにも……」
メイリンはもう一つの乳首クリップを外し、最後のクリキャップを施した。
「ひいいいん!」
またスタッフが胸を中心に全身を戦慄かせる。
その傍らで膝立ち状態のメイリンは、相変わらずクレバスを中指で擦りながらもう一方の手でクリキャップを摘む。
「ああッ、あああッ! 乳首がッ、ひぃん!」
クリキャップはスポイトと同じ要領で陰核を吸い上げる。
違うのは、スポイトよりも大分短く、小さいということ。
メイリンは若芽を吸い上げる際に指で押し潰す部分を摘まんだまま指圧に強弱を付けている。
クリキャップは強制的に肉芽を引っ張り上げ、その状態を維持させる物だと思っている俺には、メイリンがやっていることの意味が判らなかった。
「メイリン。何してるんだ?」
「乳首を扱いてるんですよぉ」
「乳首を、扱く……?
「はぃぃ。吸い付けたままここを摘まむと乳首が擦られながら押されて、ここを離すと乳首が引っ張り上げらる……繰り返すとシコシコできるんですぅ」
「そんなことが……ってことは、まさか……クリも……?」
「はいんっ、勿論シコシコしちゃいますけどぉ、それはまた別のご褒美ですぅ……」
そう言うと、メイリンはスタッフの顔に跨がった。
「ほらほらぁ、牝豚のお姉さんっ。ご褒美をもらって何か言うことは?」
メイリンは両方のクリキャップを交互に摘まみ上げながら、身悶えるスタッフを嘲笑していた。
クリキャップを使ったことがないと言っていたメイリンだが、俺よりも使いこなしている……恐るべし、エロゲー教科書。
余談だが、実はウィキ知識だったということ俺は後で知った。
「魔王様ぁぁ、魔王様ぁああんっ……」
千奈美が尻をフリフリしながら、床の上で胡座をかいている俺の腕に頬を強く擦り付ける。
「あ、忘れてた」
スタッフから外された乳首クリップを取ってテーブルに浅く掛けた俺の股座へ千奈美が身を収める。
「ほら、胸を突き出せ」
「あううッ、はい……んんッ……」
千奈美は膝立ちになると、お強請りダンスの体勢をとって恥ずかしそうに顔を赤くした。
「ホントに恥ずかしいことをするのが好きなんだな、お前は」
「ぁぁぁッ、い、いえ……魔王様の前で、恥ずかしいことさせられるのが、好きです……」
「……ふっ」
予想外の切り返しに俺は呆れたように“装う”しかなかった。