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まおーに任命されました。
官能リレー小説 - ハーレム

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まおーに任命されました。 110

 そう言って誤魔化す他ない……わけではなく、妊娠して浮かぶ“証”が何なのか良く判らない以上に、本当に頭が混乱していた。
 とてつもない緊張感に鼓動が強くなり、視界がぐわんぐわん揺れ、軽い吐き気さえ沸き起こっている。
 もし俺が一人しかいなかったら胃の内蔵物を出していただろう。
 しかし、瞳を輝かせているケイシーが自分のことように嬉しそうな表情を浮かべているのを見て、感情の起伏は平静へ向かっていった。

「『私も気付いた時は半信半疑だったんだ。だってまおー様の子種は強いからさ、卵子を貫通しちゃうでしょ?』」

 ……え?

「『でもね、一昨日くらいから母乳が出るようなったから、もしかして! って思って剃ってみたの』」

 な、何を?
 それ以前に、母乳出るの早すぎないか!?

「『そしたらね……あったの! 証がっ!』」

 だから証って……もういいや。

「『それで、健斗伝えなきゃ! と思ってたんだけど、今日も学校休んでたから……。で、アメリカに行ったこととか聞いたんだけど……いつ帰ってくる?』」

「……後二週間程かかりそうなんだ」

「『そんなに!? 健斗がまおー様ってことはホントなのに!? だって、証が出たんだもんっ……』」

「『俺が本物だってことは証明した。でも、もう騙された人が何人かいてな……。今、これ以上同じような目に遭う人を出さないように準備をしてるところだ」

「『サイテー! まおー様のフリして女の夢を利用するなんてっ……死ねばいいのに!』」

「『ああ、殺した。俺が、この手で……』」

 正確にはこの足で……。

「『えっ……そう、なんだ……』」

 流石に言葉を詰まらせる早苗。
 軽く引いたか……と思ったのは、どうやら勘違いだったようだ。

「『やっぱり健斗はまおー様だよ。私たちの気持ち、良く判ってくれてる……』」

「え?」

「『だって、まおー様だって騙されて抱かれようもんなら……殺しても足りないくらいだし……」

「そ、そうなのか……」

 それなら、紋章を見せたくらいで簡単に股を開かなければ良いんじゃないかのかな……?

「『そうだよ……。今健斗しようとしてることは私達にとってすっごく大事なことだから、私、帰ってくるの待ってる。私のこの幸せ、本当の幸せを、皆にも分けてあげたいから……』」

「早苗……」

 俺はこの世に一人しかいない。
 だから、早苗が感じている幸せを分けるには、俺はより多くの女に種付けしなければならない。
 それに対して早苗は、独占よりも共有を求めるのかっ……。

「……お前を正妻にする」

「えっ……今、なんてっ……?」

「お前を、早苗を俺の正妻にする。俺だけの女になって、後宮に入れっ」

「『えっ? ……えっ、っ……っ……ほっ、ホントにっ、言ってる、の……?』」

「嫌ならいいけど?」

「『嫌なわけないょ……っ、っ……ううっ……』」

「『ねぇ、何かあったの? 早苗ちゃん、泣きながら受話器渡してきたんだけど……』」

 と、電話の相手が早苗からの友美に代わったようだ。

「何もしてねーよ。後宮に入れるって言っただけだって」

「『えっ!? ふふっ、手を焼きそうな義妹が一人増えちゃったか」

 その声を聞いただけで、友美の嬉しそうに微笑む顔が容易に思い浮かんでくる。
 俺と早苗は幼なじみで小さい頃はよく一緒に遊んでいたこともあり、その頃から友美は既に早苗の姉さんでもあったと言える。
 中学辺りからは、おっちょこちょいの早苗は落ち着きのある友美に憧れ、俺よりも友美に会いに来ることの方が多かった。
 それもあったから高校生の今でも俺達は疎遠にならず、自然と一緒に下校するくらいの仲で関係性を保てていた。

「『でも、折角プロポーズするなら会って言ってあげたら良かったのに』」

「プロポーズ?」

「『そうよ? 後宮に入れるって伝えることは、つまりそういうことでしょ?』」

「ああ……確かに……」

 後宮に入れる人数に制限はなく、設ける必要もないので、後宮へ入るように言うことがプロポーズに値するとにいまいち実感がなかった。
 しかし、プロポーズと聞いて僅かばかりの気恥ずかしさが沸いてくる。
 もしかして、式を挙げたりしなければならないのだろうか……。
 ま、相手が早苗なら良いか。
 そう思ったから、後宮に入れって言葉が出てきたんだろうし……。

「『で、後宮はいつ建てたのかなぁあ? お姉ちゃん、何も聞いてないんだ、け、どぉ?』」

「あっ……」

「『一回くらい招いてくれても良いじゃない? 水くさいんだからぁ……』」

「いや、そうじゃなくて……」

「『え?』」

「まだ、建ててないんだ……」

「『………………ええ!?』」

「い、いやまぁ、それもこっちにいる間に考えとくよ。建てるまでは……その家に来てもらうことになる、かな?」

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