落ちぶれ魔王のハーレム生活 9
そして昼過ぎ。
死んだように動かなくなった女の絨毯の上で、ノルは満足そうに周りを見回した。
「・・・よし!ミルク絞りも終わったし、腰も軽くなった!
何人か受精しちゃったかもしれないけど・・・。
ま、いいか!
じゃ、みんなお疲れ様!後はゆっくり休んで鋭気を養ってね!」
『・・・・・・・・・』
返事を待たずに魔王は小屋から出て行く。
もっとも今の彼女たちに意識があったとしても、返事することができたかどうか。
あんなに何回もイカせておいて、明日までに復活できるのかどうかさえ怪しい。
「リタ〜?終わったよ〜♪」
「・・・む。いつもよりちょっと早いな。
ちゃんと仕事したんだろーな!?」
「ひどいなぁ。
乳絞りならまだしも、ぼくが種付けを忘れたことなんてあった?」
「威張るなッ!だいたいメスばっかりで、オスを1人も生めていないじゃないッ!?」
リタはハリセンで魔王をしばきながらツッコミを入れる。
そう。どういうわけか、魔王との間には女の子しか生まれていないのである。
しかも母親の特徴を強く受け継いだザコばかり。
近親相姦を忌避する習慣は魔物にはないモノの、またザコが生まれても困るので、今のところ娘たちには手をつけさせない方向でいる。
ま、それも時間の問題だろうが。
「ひどいなあ。素質はともかくどのコもぼくのかわいい娘たちだよ?
いくら何でもそんな言い方ってないんじゃない?」
憮然とした態度で反論するノル。
そこへすかさずリタのハリセンが飛んでくる。
「やかましい!
オレたちは一刻も早く世継ぎを作り、先代の仇を討たなきゃならないんだ!
こんなとこでいつまでも引っかかっていられるかっ!?」
「いたた・・・。相変わらずリタってば頭固いんだから〜」
魔王ノルは痛む頭をなでながら嘆息する。
じつはこの男、魔王の世継ぎが生まれない理由にはおおよその見当がついている。
彼はその理由を魔王の子供を作ろうとしているからだとにらんでいる。
魔王といえば魔物の頂点。魔物の支配者とも言うべき存在だ。
そんな存在をポンポン増やされては魔物は種族を維持できない。
それどころか争いの種となって自滅しかねない。
だから魔王となる子供が生まれないのではないか。
ノルはそう考えている。
事実自分のほかには兄弟はいなかったし、歴代の魔王に兄弟がいたなんて話は聞いたことがない。
女の子ばかりが生まれてくる理由のほうは全くの偶然、奇跡としか言いようがないが。
「まあ、そんなにカッカせずにゆっくりやっていこうよ。
この島だって居心地はいいし、死んだ父さんたちだって自分たちの敵討ちを急いでほしいなんて持ってないと思うよ?」
「・・・何でそんなことわかるんだよ?」