落ちぶれ魔王のハーレム生活 32
「ノル様っ?私たちが誰だかわかりますか?ノル様っ!?」
2人は声をかけたり揺らしたり、頬を張り飛ばしたりするがノルの意識は一向に戻らない。
いや、正確には戻っていないのではない。熱に浮かされたままなのだ。
彼は熱でぼやけた意識のまま、ただじっと2人を見ていた。
(・・・誰かが・・・何か・・・言ってる・・・。
誰だっけ・・・?名前・・・思い出せないや・・・。
それにしても・・・ああ・・・。いい、においだなぁ・・・)
鼻をくすぐる芳香。しかしそれは心を癒すようなものではない。
食欲を刺激するような、ノルの本能を刺激してやまない麻薬のような香りであった。
やがて我慢の限界に達したノルは、そのかぐわしい芳香をもっと味わおうと、いきなりミーシャの唇に口付けた。
「ノルさ・・・ぐむうっ!?」
不意をつかれたミーシャはノルの腕の中で悶えるが、あっという間に抵抗する気力を根こそぎ奪われてしまう。
この非常事態に、なおも女を抱こうとするノルの態度に、リタの怒りはあっという間に沸点に到達した。
「こっ・・・このバカっ!?この非常事態に何やってんだぁっ!!」
リタはそう言ってどこからか持ち出してきたハリセンで、ノルにキツい一撃をお見舞いしようとする。
しかしこの時彼女は気づくべきだったのだ。
今のノルもまた普段とは違う人間(いや魔物か)になっていたことを。
ノルはツッコミを入れようとするリタにそっと左手をかざす。
・・・ゴォアッ!
その瞬間、ものすごい突風・・・否、それ以外の何かがリタの全身を貫いた。
悲鳴を上げる間もなく、それをまともに食らったリタからメイド服が跡形もなく千切れ飛び。
あらわになった裸身が一瞬でピンク色に染まった化と思うと、股間から間欠泉のように愛液が吹き出てその場に座り込んでしまった。
「やっ・・・だ、何・・・っ、コレぇッ!?」
突然の身体の変化にとまどうリタ。
そこにぐったりとしたミーシャを抱いたノルが立ち塞がる。
自分の身体に何かした張本人を前に、リタはこう質問せずにはいられなかった。
「ノ・・・ルっ、アンタ・・・一体・・・!?」
だがその質問の答えは聞くことができなかった。
なぜなら質問を言い終わるより先に、リタもまたノルに唇を奪われてしまっていたのだから。