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オッパイ・シティ
官能リレー小説 - ハーレム

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オッパイ・シティ 5


「な、なぁ父さん・・・。 今・・・何ていった?」
《だから、お前はソコに残れって言ったんだ。 もう、お前も年頃だし一人でもやって行けるだろ?》
震える声で問う誠人に、電話の向こうの相手は言い聞かせる口調で説明しだす。
《それに・・・ソコは母さんの生まれ故郷だ。 お墓参りにでもいってやってくれ。 じゃなかったら、母さんが悲しむ・・・》
「・・・」
昔を懐かしむような口調の匠に、誠人はただ黙って携帯を耳に当てる。
《俺の都合で世界を飛び回る羽目になったんだ。 だったら、もうここらでいいだろう・・・》
《後は俺一人で大丈夫だ。 お前は、精一杯青春を謳歌してくれや・・・何、お金ならコッチで毎月出してやるから心配すんな!》
陽気な口調で言う父に、誠人は目頭を押さえる。熱い何かが、彼の頬を伝ったからだ。
「・・・父さん」
《何だ・・・?》
涙声で父を呼ぶ誠人。匠も、彼の気配に察したのか真剣で暖かな声で答える。
「・・・行ってらっしゃい」
《あぁ・・・行ってきます》
たった一言の言葉で父を見送る誠人。顔は涙でぐしゃぐしゃになり、鼻水も垂れている。
しかし、そんな涙交じりの言葉にも父は感謝の気持ちを込めた言葉で返してくれた。

直後切られる携帯。静まり返ったリビングに誠人の嗚咽が小さく木霊した。


――ppp! ppp・・・!!
「ん、んんッ・・・・何だよ・・・って、あぁ・・・」
リビングに鳴り響くアラーム音。その音にしかめっ面で起き上がったのは、寝ぼけ眼全開の誠人。
あの後、泣き疲れた彼はそのままリビングのソファーで寝てしまったのだ。
床に落ちた携帯のアラーム音は、学校を出た後に設定したもので設定時間は朝の7時ジャスト。
これから通う学校は8時登校なので、まだ一時間の余裕がある。
「そっか・・・今日からだっけ・・・」
まだまだ眠たそうな誠人だが、カーテンを勢い良く開け外を眺める。すでに、外では人やモノが動く気配に包まれていた。

「よし・・・こんなもんだろう」
キッチンに設置されてある新品のコンロ(IH)の上、置かれたフライパンの中で鮮やかな黄色と白に変わったのを見て、彼はコンロのスイッチを切る。
そして、ソレをフライパンから平皿へと躍らせるように移し変える。先に載せていたレタスとトマトとのコラボに。
「うん。 見事な移し変えに出来栄え・・・10点満点」
と、自画自賛する誠人。テーブルへと並べるは、先ほどの目玉焼きにトーストしたパン。インスタントのコンソメスープに、ソーセージ、バター。
これが、今日の綾瀬家の朝食一覧である。

「・・・」
イスに着ついた誠人。右手にはバターナイフが握られている。
温かい湯気と香りで、「早く食べて!」と催促している朝食たち。しかし、今の彼にはそんな誘惑は通じなかった。
フラッシュバックするのは、昨日の電話での会話にただっ広さを感じさせるリビング。今まで当たり前に過ごしていた父は、もう、此処には居ない。
「ッ!!! 何、シンミリしてるんだ俺! 今日から一人で生活するって決めたじゃないか!」
頭を2,3振り、切なさや悲しさを振り払う誠人。そして、それらから逃げるかのように朝食を食べ始める。


朝食も早々に完食し、洗顔に歯磨き、着替えもほんの五分足らずで終わらせた誠人。
戸締りに電気の消し忘れなどを一通り確認し、しっかりとカギをかけてきた。
それでも時間は7時15分。マンションから学校までは凡そ20分弱の道のりなので、現在彼はその通学路を空を見上げながら歩いていた。
「・・・・」
無言で空を見続ける彼。そんな彼の脳内では昨日の会話の一部が何度も再生されていた。

《それに・・・ソコは母さんの生まれ故郷だ。 お墓参りにでも行ってやってくれ。 じゃなかったら、母さんが悲しむ・・・》

「母さん・・・か」
ポツリと呟かれた言葉は、晴天の青空へと解けて消えていく。
昨日の幼馴染との再会や父親との会話で、記憶の奥底に沈んでいた母との思い出。
白黒写真の様に色あせてしまったソレらだが、今の彼には十分な物だと思っている。

杉原家の人たちとやった誕生会。授業参観、運動会――本来ならもっとある筈だが、10年も時間が経過していれば記憶の深海に沈んでしまう思い出(記憶)もあろう。

と、そういう風に納得してしまう事に「親不孝か?」と考えてしまう自分に少し苦笑してしまう。

――ワイワイ・・・ブオォォォ・・・プーッ・・・ゴオォォ・・・。

「へぇ・・・この通りってこの時間になれば結構混むんだな」
彼が出た場所は昨日の昼間、ポス娘なる少女にパイズリやフェラチオをされたアーケード街前の大通り。
誠人の目の前には、彼と同じ制服を着た男女やサラリーマン。幅の広い道路には出勤に勤しむ車やバイクが引っ切り無しに続いている。

「にしても・・・マジかよ」
大通りに出て、歩く群衆の一員になった誠人。そこで彼は呆れた口調で呟く。
彼の視界、学校へと続く通学路には自分と同じ制服に身を包む少年少女らの姿。
別段珍しくもないこの光景。しかし、“ある一部分”だけがそれを見事に破壊していた。

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