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龍使いの少年 第二部
官能リレー小説 - ハーレム

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龍使いの少年 第二部 13

全員が通り過ぎるまでゲートを維持するのは、魔力の無駄遣いになるから、一括転移する魔法陣が必要だ。
無尽蔵に力が使えるといっても、無駄遣いは好ましくない。
消耗した隙を、宇宙的な存在に狙われる可能性もあるのだ。

とにかく、傭兵を集めるのは一日がかりだった。
転移魔法陣の範囲内に収まるように、隊列を組む段取りが面倒なのだ。
魔法移動は、普通の傭兵は未経験だから右往左往する。
思い出すのも嫌になるくらい、作業は難航した。

そして翌日。
竜王即位から一週間、予想通りエルフの軍勢が森から現れてきた。
総勢六万七千人。魔法や弓、剣術に優れた精鋭だ。
集結能力の高さと、移動能力の異常さも合わさると、恐るべき軍団となる。
人間の軍隊だと、招集を掛けて一週間だと、各地方領主の下に手勢が集めるのがやっとだ。
エルフから攻める事は滅多に無いが、反撃準備できる前に戦争が始まって、反撃できずに終わる怖さは、皆知っている。

僕の軍勢は一万二千。
法外な契約金で集めた、傭兵の寄せ集めだ。
一流から三流まで質はピンきりで、まとめて軍勢として運用するのは無理だ。
実際に僕は、彼らを戦力として期待していない。

戦力差は5倍。普通の戦争なら篭城して、他国の救援頼みにする所だ。
僕は、そんな事をするつもりは無いけどね。
下手に隙を見せたら、エルフに加勢する国が幾つあるやら。
竜王国の流儀で戦って、竜王健在を誇示するつもりだ。

「僕からの命令は一つ。戦いを見届けること。手出しも逃げるのも不要。反撃は許可する」
前夜の会議で、僕が傭兵に伝えた作戦だ。
プライドを傷つけられ、怒る者も居たけど無視。
今日の戦いを見れば、納得するはずだ。
実際、竜を撃退する手腕を目撃した傭兵は、僕の決定に異議を唱えない。

「竜王の治める地を、侵す理由を述べよ」
「我らエルフに対する侮辱に、制裁を加えるためである」
一人軍勢から進み出て、エルフの真意を確認して呆れた。
侮辱の一つで軍勢を動かすとは、どれだけ愚かなのか。
まるで、子供の物言いだ。
傲慢で、人殺しを平気でする者達には、相応の報いで応じよう。

「ならば、竜王を見くびった報いを下そう」
「撃て!」
交渉は決裂。戦闘が始まった。
エルフは、傭兵団に向けて矢を放った。
なんと、愚かな。
僕を倒すのが勝利条件なのに、無意味に被害を広げてどうするのか?

「なにっ!?」
僕が無音詠唱で作った魔法障壁が、全ての矢を跳ね返した。
範囲が広いので、桁違いに強力な魔力が要るが、僕には朝飯前の技だ。
これで驚くようなら、僕の相手には実力不足だ。
僕は両手に持った、二振りのミスリル剣に魔力を込めた。

ハグレ竜から回収した、財宝の中から掘り出した無銘の剣だ。
材質はミスリルだが、特別な力は付与されていない。
形もシンプルで魔法剣としては失敗作に見えるが、相応の使い手には、またと無い逸品になる。
使いこなせる者は、竜か魔神級の怪物になるけどね。

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