魔法×ハーレム!! 26
そんな忌々しい男が今では何人かの女子をうまく誑し込んだらしく、あれこれと教え込まれて授業にも追いつきつつあった。
しかも誑し込まれた女の子たち全員が美しさと魅力が異様にUPしているのだ。
ティエラにしてみれば嫉妬と怒りの炎が心の中に滾るのも無理は無い。
「なんでよ・・・」
「・・・え?」
ぼそりと呟いた彼女の言葉を理解出来なかった柳が聞き返す。
それが、彼女の感情のトリガーを引いた・・・
「何でよ!!!」
「うわ!!?」
いきなり彼女が掴みかかって来たかと思いきや、有らん限りの声で彼女は叫ぶ、柳は何が何だか解らずじまいだが今の彼女にそれはどうでもいいことだった・・・
「何で異世界人のあんたばっかがそんな事ばっかり! 魔法の事を知らないあんたが! 授業の時は何も出来ないあんたが!」
ティエラは溢れ出す感情の限り声を上げ怒鳴る。その内容は滅茶苦茶で分からない。
しかし、彼女の声は今にも泣き出しそうな子供の様な声であり、柳は彼女のされるがままにされていた。
そして・・・
数十分後、大声でしかも涙を流しながらの罵倒を終え、意識がはっきりしてきた彼女は目を赤くしたまま小さく「ごめん・・・」、と呟いた。
しかし、柳はあれだけ罵倒した彼女の頭を撫でながら少しだけ笑っていた。
「なんで、あれだけ言った相手に笑ってるのよ」
「ふふ、だって最初に会った時の君と今の君のギャップが凄すぎてね。 それに・・・」
ーーもう平気でしょう?
そう言われた彼女はバッ!と彼から離れると、顔を赤くしながらもどこか吹っ切れたような表情をしながら別れた彼女を見つめ、柳は人知れず笑顔になっていた。
「くくっ。なるほど、彼が言っていたのは“こういう事”か・・・」
先ほどの一部始終を研究室で見ていた彼女は、その光景をモニター状の機械で見つめ笑っていた。
その笑みは普段の彼女のイメージを覆すような、愛らしい笑みであった。