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竜使いだった少年
官能リレー小説 - ハーレム

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竜使いだった少年 38

「少なくても、あんなの目の前で見せられただけで突飛なんだけど!…人を心配させてるんだから理由ぐらい教えてっ!!」
彼女には珍しくかなり激昂している。
多少キツい所もあるけど、感情をここまで露にする事は余り記憶に無い。
思念もかなり乱れている。
関係が希薄になっていた昨今は話す機会すら少なかったから余計そう感じるのかもしれないけど。

「なぁ、運命って本当に有ると思うか?」
「宿命とか、そういった感じの?」
「うん、寿命とかそういった感じの」
そう言って、僕は汗を掻いた手で公佳の腕に触れた。

「ひゃっ、冷たっ!!」
<なに、今の?まるで死人の手みたい>
汗の冷たさをテレパシーで強調した上で、恐ろしげなイメージを吹き込んだ。
幼馴染の二の腕には、びっしりと鳥肌が立っている。
湧き上がってくる不吉な連想で、彼女の脳裏は占拠されているようだ。
もう一押しすれば、聞く気を無くすだろうな。

「全てを打ち明けるのは、禁忌を破ることになるけど…。偽りのまま過ごすのは…」
「止めて!もう良い、何も言わなくていいから!」
(豊がまた居なくなるのは嫌!あんな思い、もうしたくない!!)
思わせぶりな言葉を言ったら、上手くいった。
普段は反オカルトの振りをしているけど、公佳はかなりのビビリだ。
「コックリさんでマジ泣き事件」とか「ピーターパンを大声援事件」とか、一度騙されると本気で信じるからな。
恵の持っているコミックの台詞を拝借したら、あっさり不吉な想像をしたみたいだ。

「だから、朝の説明を…」
「朝?何のこと?普通にご飯食べただけだよねっ!!」
(駄目だよ、豊、それ以上言ったら駄目!)
黄泉還りネタでありがちな、死を告白すると…ってのを、連想したみたいだ。
僕に何も言わせまいと、必死だ。

「そこまで必死に言うなら、何も言わないけど」
「いいのっ!豊は裏山で遭難しただけ!」
(豊は何とも無い、大丈夫、ちゃんと生きてる…)
心の中で、念仏のように唱えている。
器用なことに、2、3日で本当に忘れる才能を持っているから、この件は「何も無かった」ことになるだろう。

「宿題するのが目的だけど、茶菓子くらいは準備してくれても良いんじゃないか?」
「あ、ごめん、そうだね!用意してくるっ」
話題を変えると、公佳は不自然にはしゃいで、台所へ向かった。
しばらくは、普通に過ごすほうが無難かな。
宿題を解いていれば、そのうち忘れるだろう。


「ねえ、本当に何にも無いよね、大丈夫だよね?」
「はぁ?何言い出すんだ?」
課題を解いていると、公佳が唐突に切り出してきた。
さっきの話題を、まだ引きずっているのか?
ちょっとビビらせ過ぎたか。適当にフォローしないとな。

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