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竜使いだった少年
官能リレー小説 - ハーレム

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竜使いだった少年 33

ぎゃあぎゃあ騒ぐだけの二人は放置して、一人で荷造りをしよう。
なんだかなぁ。
一応、僕は入院患者だったんだよ?
タクシーを呼んで、母さんと公佳が迎えのほうが良かったのに。
絶対に人選ミスだよ。

「お兄ちゃん、ほら、早く乗って!」
「お前、助手席が好きじゃないか?」
「いいの、今日は後部座席な気分なの!」
(お兄ちゃんと一緒に座るんだもん)
なんと、助手席より僕のほうが、優先度が高いのか?
あの助手席マニアが?
ちょっと、いや、とても驚いた。
有り得ないって。こんな椿事。

「さぁ、うちへ直行お願いします。運転手さん」
「ランチ食べに行かないの?」
「お母さんが用意してるって言ったの、聞いてないの?」
歩く傍若無人だ。
ミサさんが人の話を聞かないのは、習性なんだよ。
しかし、恵の乱入が無ければ、一日中引き回された挙句、母さんの説教で終わる所だったのか。
公佳も怒っていただろうな。多分。

「ただいまぁー!」
恵は僕から荷物を全部取り上げていった。
献身的な妹ってのは、新鮮だ。
昔はあんな感じだったんだよな。
いつの間にか、反抗的になっていたんだけど。

恵はマナミさんとは違った意味で、犬チックだ。
マナミさんがお人好しの大型犬だとすれば、愚妹は我侭放題な座敷犬だ。
失踪前は、僕のことを序列が下の存在だと見下していたけど、今は逆だ。
何かにつけ、僕のご機嫌を伺ってくる。
どんな心境の変化が有ったのか知らないが、妙な感じだ。

「お帰りなさい。ご飯、用意してるよ」
公佳が出迎えてくれた。
どうでも良いけど、家の住人ですみたいな顔で出てきたよな。
まぁ、いつもの事だけどさ。
体感で50年異世界を経験したから、その辺の感覚が正常化されて、異常さが解る。

「馬鹿ねぇ、そこは、ご飯?お風呂?それとも…ブベラッ!」
「いい加減にしてよ、この色キ○ガイ!!」
スリッパで、おばさんに突っ込みを入れた公佳が怒る。
この母娘のいつもの光景だ。

「んーいつもながら、美味そうな食事ね」
当然といった顔で、美紗緒さんが食卓に着く。
お隣さんのマイ箸と茶碗が、当たり前に用意されてるって、どうなのよ?
母さんは、食費を請求しているんだろうか?
…公佳が、きっちり払っていそうだな。
親がアレだから、妙なところで義理堅い苦労性になったのだろう。

食事を終えて、僕は自室に引き上げていた。
懐かしい、本当に懐かしい部屋だ。
母さんが片付けてくれたのだろうか?
部屋が綺麗に整頓されている。
心配したんだろうなと、申し訳ない気分が沸いて来た。

テレビの前に置かれた、ゲーム機の電源を入れてみた。
毎日夜更かしして遊んでいた、RPGの画面が映し出される。
良くできたおもちゃだ。
プチンと電源を切って、ゲームディスクとメモリカードを抜いた。

あれだけ夢中になっていたのに、今は僕の心を動かすことが無い。
ただ、懐かしさが湧き上がるだけだ。

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