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竜使いだった少年
官能リレー小説 - ハーレム

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竜使いだった少年 3

そんな事があって、べったり付き添いをしていた母さんは、着替えを取りに行くと帰宅した。
気まずかったんだろうな。僕だって気まずい。
生意気な妹は、僕がお腹が空いたと言うと、近くの商店街に走っていった。
ここ何年かは絶対に使い走りに行かなかったのに、恐るべき変貌ぶりだ。

結果として残ったのは、隣の幼馴染。今はしなやかな手で、りんごの皮を剥いてくれている。
彼女は妹と仲がいい。今でも姉妹のように、互いの部屋に入り浸っている。
なので、直接の交流は無くなったんだけど、僕との微妙な距離の近さは保ったままだ。
半年に一度会う程度の従姉妹より、精神的な距離感は近いと思う。

彼女は綺麗に剥き終えたりんごを皿に乗せて、んっと差し出してきた。
弱って震える手で一つ取り、齧る。凄く硬く感じる。あごの筋肉まで痩せたのだろう。
モゴモゴと、歯の無い老人のようにりんごをしゃぶる。
やっとの事で飲み込んで、二口目を食べようとしたら、ポロリと取り落としてしまった。
握力まで無くなっている。

「あ、ごめん…」
なんとなく白けた、気まずい空気になった。
彼女は皿からりんごを取ると、シャクシャク食べ始めた。
かなり念入りに咀嚼している。
美味しそうに食べるのを見せ付けられて、かなりうらやましい。というか、腹が立つ。
僕に恨みでもあるのか?取り落としただけで、この仕打ちは無いだろ。

「んぶっ!?」
いきなりキスされた。口移しで、噛み砕いたりんごを流し込まれる。
いつもの癖で、念入りに吸い上げてしまう。そう、いつもの癖だ。
あちらの世界で鍛えた、世界ランク入り間違いなしの、達人のキスを見舞ってしまった。
歯茎や舌の裏まで念入りに舐め上げ、トロトロと溢れる唾液を吸い取る。
甘くて美味しい、りんごの味だ。
ぷはっと口を離すと、銀色に輝く唾液の糸が繋がった。

「バカッ!」
真っ赤になった幼馴染は、そう言うと部屋から逃げ出した。
ああ、しまった。やってしまった。
言い訳できないよな、あれだけ濃厚なキスだから。
しかし、どうしていきなり口移しをしようとしたのだろう。

頭の中が、グルグルわーっとなって、何も考えられない。
力を抜いて天井を眺めていると、生意気な妹が戻ってきた。

「ただいま、お兄ちゃん。消化のいいバナナを買ってきたよ。あとは、お弁当」
妙にご機嫌な愚妹が差し出してきたのは、カツ丼と牛カルビ弁当、バナナ(6本)と大プリンだった。
バナナとプリンは良いとして、弱った胃腸にカツ丼と牛カルビとは何を考えているのか、このバカは。

「じゃあ、プリンを貰おうかな」
「駄目だよ、プリンはデザート。お弁当を温めて貰ったから、さめない内に食べてね」
カツ丼弁当を渡される。兄の嗜好を理解した賢い妹だ。
…僕の体調が万全な時なら。

まぁ、妹の笑顔を見せられたら、兄としては食べるしかあるまい。
震える手で、割り箸を折る。取り落としてしまった。

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