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僕と桃のハーレム計画
官能リレー小説 - ハーレム

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僕と桃のハーレム計画 155

「ちょと…先輩!?どこへ…!」
泉が僕の手を取り、あまりにも不安そうな表情を見せる。
その手は僅かに震えていた。
「僕の恋人は、僕が助けなくてはならない。すぐに戻る!!」
僕は、一目散に駆け出していた。

熊はもうほんの数メートルの位置。
そこで足を止め、荒く息をついて威嚇しているようだ。
(それほど大きくはないな。けどやっぱ……怖ええ…!)
体長はどうやら僕よりやや低い。
とはいえ、間近で見ると恐怖心は一層増してしまう。
(…ええい止まれ!足の震え!)
僕の両足は僅かにガクガクと震えていた。
だが僕は彼女達を、このハーレムを、護り抜くと決めたんだ!

「ほら!みんな僕に捕まれ!」
「ゆう、とぉ…!」
「ぐすんっ、お兄ちゃーん…」
洋と育代を両腕で抱え、なのはを無理矢理に肩車する。
さすがに辛いが、そんな事を言っている場合ではない。火事場の馬鹿力というやつだ。

「とにかくッ、館へ…!」
彼女らを抱え上げたまま、僕はシャニムに走り出す。
テラスで控えていた桃に3人を預け、僕は恐る恐る振り返ってみた。
「がぁおおおおぉぉ!!」
「きっ…来たァァー!」
熊は僕を目掛けて迫っている。
(もう逃げられない…こうなったらイチかバチか、相手してやる!)

両手を広げて、文字通り飛びかかってくる熊。
スピードが速く、僕はあっという間に覆いかぶさってしまった。
「ぬおォ痛てぇ!……あ、あれ??案外軽い…それに全身ふにふに柔らかい…?」
これといった攻撃を仕掛けては来ない。
眼前で熊の顔を見てみると、目玉はつるつるで無機質で、ちょっと可愛げもあって。
これじゃまるで…

「ぷっはぁー!雄斗っ、驚いたー?」
熊の頭部がすぽっと抜ける。そこから現れた、見慣れた顔。
「ら、ララッ?!え、これ……着ぐるみ…?!」

ララは満面の笑み。
僕は唖然呆然。なんだこれ、なんて茶番?
「おいーっ!ふざけた真似するなよララぁー!僕がどんだけ皆を心配したか!」
「いやぁーごめんね雄斗。まさかここまでの騒ぎになるとは思ってなくて…」

どこから引っ張りだしてきたのか、ララは着ぐるみを見つける。
ちょっと驚かしてやろうという軽はずみから、熊に扮して登場してみせたのであった。
「ほんとは怖かったんだぞ、まったく!けどまあ…皆が無事で良かった」
僕はふにゃふにゃと力が抜け、ララ熊に乗られたままぐったりする。

「本当に悪かったって!みんなも、ごめんね。ちょっと調子に乗り過ぎちゃった!」
「な、なんだよ姉上だったのかよー!」
「よかったーぁ……雄斗君も、誰も怪我なくて…」
ほっと胸を撫で下ろす面々。

「お兄ちゃーんっ、助けてくれてありがとう!なのは、感動です!」
「それにしても雄斗ちゃんのあの逞しい男気…まだどきどきが止まらないわあ」
「ほ、本当ね。いっつもスケベなくせに、いざという時に頼れるんだから」
育代や薫、メンバー皆が、僕をさもスーパースターかのように眺めている。
「いや…僕は何も」
(こうして讃えられるなんて、やっぱり嬉しいぜ…)
僕はでれでれと頭を掻き、照れを隠せずにいた。

(ふふふ、計画通りですよお姉様。やっぱりご主人様は素晴らしいと再認識する皆さん…
 そして、彼女達も例外でないはず!)
桃は企て顔で、泉らに熱視線を送っている。
「先輩、かっこいい…!」
「い、いいとこある男みたいだな」
「泉が惚れちゃうのも…納得ね」
映研の7名は、ぽおっと頬を染めて僕に羨望の眼差しを向けていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さて。
そんな騒動が過ぎて、いつしか夕刻が迫っていた。

(つーかなんで、僕は一人ぼっちで外にいるんだ)
てっきりそのまま皆にチヤホヤされ、もしかしてエッチな流れか?などと妄想していたのに。
「すぐに呼びに戻りますので、ちょっとお待ち下さいね」
桃に言われ、僕は何故か館から閉め出されていた。
館内からは何やら皆が歩き回る足音が聞こえてくる。

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