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僕と桃のハーレム計画
官能リレー小説 - ハーレム

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僕と桃のハーレム計画 113

「…ぐすん、まぅ…まうーん…」
疲れきった表情、ぼろぼろの服。
それにこんなに小さな女の子が、スパイか何かで潜入したとはとても思えない。
「…よしよし、もう大丈夫よ。さあ、まずは一緒にお風呂に入りましょう?」
紗季はこっそりと彼女をかくまい、邸宅へと招き入れる。

汗を流して部屋で休み、彼女は随分元気を取り戻した。
しかし相変わらず出る言葉は、まうまう、まうまう。
「この子、言葉が喋れないのかしら…?」
紗季は人一倍心配した。
何かのショックで言葉が喋れなくなった?記憶喪失?何故泣いていた?ご両親は?……
「まう!まうー!」
何を尋ねても、彼女は答えてはくれない。
唯一わかったのは胸に付いていた名札、花星セリナ。
警察に届けて家に帰してあげるべきだとメイド達は提案したのだが。
「まぁーヴ!!まうまうッまうん!」
セリナは紗季の胸に顔を埋め、首をぶんぶん降って嫌がった。
「……わかりましたわ、セリナ。わたくしがあなたを守る…育ててさしあげますわ!」
「紗季様!そんな、無茶ですよぉ!」
「いいえ、彼女を放ってはおけません。きっと何か辛い事情があるはず。
 いつか必ず、セリナに言葉を取り戻してみせますわ!」
「さ、紗季様…」
「まうん!まううぅーんっ!!」
「あん、こら…ふふ、セリナったら」

かくしてセリナは上の者達にばれぬよう慎重に、この邸宅での生活を始めた。
もともと広過ぎる豪邸である為、またメイド達の一部や凛らも承知している訳だし、
それほど難なく事は運ばれる。
セリナも日に日に笑顔を取り戻し、ひとなつっこくみんなと楽しく遊ぶ。
しかし未だ、言葉は戻らぬままであった……


「そ、そうだったのか」
僕の想像以上に、シビアで寂しいストーリーであった。
明るく元気いっぱい、いたずら好きの女の子。ただ見れば、セリナはそんなふうなのだ。

(しかし紗季先輩って…こういう時、本当にいい奴なんだよな)
普段は調子に乗ったり真顔で下らない事を言ったり…つっこみ所しかないような人なのに、
変なところで人情深く、優しく、きちんと相手と向き合うのだ。
まあそれが、こうしてみんなに慕われる理由なのだろう。
まったく、普段からそうして温和に、威厳を持って行動して欲しいものだ。
妹の奏を見習って。

こんこん。
「お姉様?入りますわよ」
噂をすれば何とやら、奏がやってきた。
いかなる時もお供をするのか、執事のスバルもいる。

「さ!紗季お姉様!?なんて格好で…!お、お前まさかお姉様に…!」
「スバル!いやいや、別にそんな!僕なんかが紗季様に中出しなんてするわけ…っ」
「な…!なかっ、ナカダ、な…かだ……っ!!」
いかん。うっかり口を滑らせてしまった。
スバルは真っ赤になって、今にも僕を始末せんばかりに勇む。

「……んん?いったい何の騒ぎですの?」
紗季が目覚める。
「まあ、奏にスバルも。あら!それにユーキ・リト様も」
「紗季様、流石にその間違え方は問題かと…」
凛達も身を起こす。
たちこめたあの薬のせいか、先程の記憶はおぼろげのようだ。

「まったくお姉様ったら、ご自分で呼び出しておいて。
 で、わたくしに何か御用ですか?」
そうだ。僕も何か用があって紗季に呼ばれていたんだっけ。

「おおそうでしたわ!ゆう君、あなたに是非試していただきたいものがございますの!
 綾、用意は整ってますわね?」
「はい!もちろんですっ」
ぱちん。
綾が指を鳴らすと、扉から一人のメイドがおずおずと入ってきた。
ややつり上がった切れ長の瞳、ニーソックスではなく白いロングブーツを穿いている。
(ここのメイドはほんと、アニメみたいに可愛い子しかいないな…)

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