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魔堂戦記
官能リレー小説 - 戦争

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魔堂戦記 10



それを遥か東から見ている者がいた。
凛々しげな眉毛立ちに、整った鼻筋。纏っているのは浅葱色の着物で、その間から豊かな乳房と股間の男性器が覗く。男の凛々しさと女の淫蕩さを兼ね備えた肢体を持つ人物の名前は『高越雫』
和国を統べる高越家の始祖であり長。人ならぬ人である。
「そうは問屋が卸さんよ」


ゾクッと背中を駆け抜ける悪寒にタケルは身体を震わせた。
「やばっ、なんか嫌な予感がするぞ。結構今までの経験上、かなりヤバいぐらいの」
辺りを見回し、感覚を研ぎ澄ませるが辺りには知り合いの神霊の気配は無い。
たぶん大丈夫なはず・・・・多分。
「どうした、タケル?」
「い、いや、なんでもない」
久しぶりの蟲の予感に辺りを見回すタケルに九尾が柳眉を潜める。
二人は既にシヴァリエ山の中腹までたどり着いていた。
上空には黒雲が立ち込め、時折雷鳴と共に雷光の火花が飛び散る。
明らかに相手は、こちらに戦意がある。
「さて・・・・どうしようかな?」
退治しろと言われても相手は神様。下手に倒しても辺りの信仰している人々には迷惑だろうし、何より何故退治しなくちゃいけないのかもわからない。その為理由を聞きたい所だが明らかに相手は機嫌が悪い。
躊躇するタケルの前で、九尾が指先に青白い炎――鬼火を宿し、振り下ろす。指先から跳んだ小さな炎は瞬時に炎の瀑布となって黒雲へを貫いた。
「なっ!」
いきなりの先制攻撃に、思わず声を失うタケル。
しかし、ほぼ同時に上空の暗雲から一陣の雷光が降り注ぎ、御神刀の結界が弾き飛ばした。
「覗き見とか悪趣味じゃのう、翼蛇」
九尾が冷笑を浮かべ、暗雲から神が現れる。
翼蛇というのは古代仙奇に描かれる翼を持つ蛇のことであり、体長十メートル程度、仙人の使い魔としてよく使われている描写が多いが、暗雲から現れた翼蛇はそれらとは一角を越えていた。
全長で三十メートルはあるだろう。その巨躯を支える為に翼は六枚、それぞれが優雅に動き、細い瞳孔を持つ瞳はただの視線にも圧倒的な威圧感が漂う。

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