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魔堂戦記
官能リレー小説 - 戦争

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魔堂戦記 1

満月の光が降り注ぐ夜を青年と美女が歩いていた。
黒髪黒目、この辺りでは珍しい東方系の風貌の十代後半の青年であり、腰には日本刀と呼ばれる特殊な剣の入った鞘が嵌められている。
旅人だろう、特に特徴的な顔立ちはしてない。
だが、彼の側にいる女性は別だった。
艶やかな稲穂のような輝く金髪に、白と赤を基調とした巫女服の上からもわかる妖艶な肢体。たわわに実った乳房など隠し切れず、魅惑的な谷間を覗かせている。
顔つきもまた熟れた色気を漂わす二十代後半の完璧な美貌。整った鼻筋に、細く蟲惑的な瞳。血を引いたかのような赤い唇はむしゃぶりつきたくなる淫らが宿る。何より特徴的なのは金髪の端から覗く人間には在り得ない三角の耳と、腰元から伸びる九本の尻尾だ。
妖狐の中でも最上位、九本の尻尾を持つ九尾の狐。
それが彼女の正体である。
彼女は完璧な美しさを誇る唇を尖らせ隣の男に問いかける。
「のう、タケル。ここらへんでよいではないか?妾はそろそろ疼きが耐えられなくなってきておるぞ」
「うっ、ちょっと待って」
タケルと呼ばれた青年は瞳を閉じ静かに息吹を吐きながら気を高め、神経を研ぎ澄ます。
暫くした後、タケルは溜息と共に頷いた。
「よし。この辺りニ十キロには誰もいないな」
「まったくこやつめ、妾という最高の女がおりながら他の女と戯れるとは」
九尾は唇を尖らせ、タケルは苦笑いを浮かべる。
「しょうがないだろ。これは俺の性格じゃなくて性質。能力だっつーの」
「ふん。まあよい、はよ、戯れようぞ」
九尾の体からスルリと衣が滑り落ちる。
現れたのは月光の女神とも想うばかりの完璧な肢体。柔らかく、それでいてしなやかな、野生の獣を思わせる肢体は、けれど同時に高級娼婦を思わせる淫らな色気を漂わせる。
人の頭ほどもある巨乳は、たぷんたぷん、と揺れ、男ならば、その朱色の乳首を咥えたいと願うだろう。
「九尾、綺麗だよ」
「フン、そんな世辞。沢山の男から言われてきた」
九尾は賛辞に頬を赤く染めながらもソッポを向く。
その顔にタケルは苦笑した。
「可愛いもつけたしてもいいね」
「・・・・おぬしだけじゃぞ。妾を可愛いなどほざくのは」
唇を尖らせて九尾は、どこか諦めたにも似た溜息をつく。
「何千、何万の人間を殺してきた妾を肉欲ではなく愛情で抱いてくれるのはおぬしだけじゃ」

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