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魔堂戦記
官能リレー小説 - 戦争

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魔堂戦記 9

「ちょっと・・・九尾、首が・・・・苦し・・・・」
「のぅ、タケル。黄昏の女帝とは誰のことじゃ?」
「え?」
ギチギチと首を絞めるように抱きしめる九尾の方を振り向くといつもの青い碧眼が深紅に染まるぐらいの嫉妬の炎が燃え盛っていた。
嘘ぉ〜と内心で悲鳴をあげながら必死で腕をのけようとするが全然離れない。
「む、昔の・・・・知り・・・会い・・・・ちょっ、・・・・マジで・・・・ヤバ・・・・」
『嫉妬は女性を美しくする』などと誰がほざいた名言なのだろう。思わず見知らぬ人を罵りたくなる気分を押し殺してタケルは必死に喘ぐ。
その耳元で九尾が妖艶な吐息を吐きながら囁きかける。
「妾は嫉妬深いぞ。何故だか知っておるか?」
ペロッと紅い舌でタケルの頬を舐め上げ、嫉妬の炎が滾る瞳を近づける。
「・・・・・・さ、さあ? ・・・・・それより・・・・・クビが・・・・・」
タケルの必死の願いも嫉妬の炎に彩られた彼女には聞こえない。というより無視している。タケルの耳元にそっと唇を近づけ―――
「誰だって自分の宝物を汚されたくないじゃろう」
ガリッと耳に歯を立てた。
「ぎいぃいぎゃああっ!!」
タケルは悲鳴をあげた。九尾は首を絞めていた腕を離すと激しい吐息と共に耳元に手をやり、ヌルッとした感触に怯える。血か、と思ったら、ただの唾液だった。
「今度は噛み千切るからな」
「・・・・・・・・・・・・・」
ヤバい。
九尾の嫉妬深さをはじめて知ってタケルの顔に絶望が浮かぶ。他の女と出会ったら耳だけで済むだろうか?いや、最低でも九尾以上の嫉妬深さを持つ『あの三人』には絶対にあわせてはいけない!
俺が死ぬから!!!
タケルの戦々恐々ぶりを気付いてか、気付かずにか、九尾は立ち上がり、乱れた十二単を直しながら優しく微笑む。
「では行こうか。黄昏の女帝というアバズレを出さない為にな」
行こうかという割にはタケルの首筋を掴んで引きずるように九尾は歩き出す。その顔には未だに消えきらない嫉妬の炎が滾っていた。
・・・・九尾は今まで取ったことはあっても取られたことはないから、自分の嫉妬を制御しきれないんだな。
ハァと溜息をつくタケル。

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