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魔堂戦記
官能リレー小説 - 戦争

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魔堂戦記 11

「・・・・狐・・・・・私に・・・・何用だ?」
驚いたことに翼蛇の口から出たのは優雅な女性の言葉だった。蛇の口では発音が難しいのか聞き取り辛いが、それでも会話できるのは助かる。しかし、彼女?の話す内容は剣呑だった。
「今・・・・私は・・・・機嫌が・・・・悪い。・・・・死にたくなくば・・・・去れ」
「ほほぅ」
最悪なことに九尾も機嫌が悪かった。先程、化神したばかりだというのにザワザワと九本の尻尾の毛が逆立ち、周囲に鬼火が漂い始める。
「ちょっと待ったっ!落ち着けって」
「嫌じゃ。妾にこんな舐めた口を利いた奴は根こそぎ薙ぎ払い、火をつけ、灰を踏みにじる。それぐらいおぬしも知っておるじゃろ」
「いや知ってるけど、今回は不味いって、相手は神様なんだし」
「ふん、神様なんぞ崇める者が神と定めただけのこと。妾も神や悪魔と言われたことぐらいある」
九尾はそう言うと周囲に漂う鬼火を収束させ、蒼白い炎の槍として撃ち放つ。大気を消滅させながら炎の槍は翼蛇の胴体へと迫り―――途中で霧散した。
「ちっ」
「なんだ?」
奥義とは言わなくてもそれなりの威力がある術だった。それが結界で防がれた様子も見せず消え去るなんてありえるのか。
「・・・・・・愚か者・・・・」
翼蛇が大きく口を開く。口腔の奥には蛇に似た舌が蠢いているが炎も凍気も放たれない。
「ごふっ」
九尾は眉を潜め、それより早くタケルが全身を痙攣させながら地面に倒れた。
「タケル!? ど、どうし・・・・・っ」
九尾が口元を手で押さえる。指先の間から紅い血が零れ落ち、全身に油汗が滲む。鬼火が九尾の身体を囲み炎の螺旋が見えない程の小さな何かを焼き尽くした。
「無味無臭の毒息なぞ」
「・・・・・・・・・・・・眠れ・・・・・・・」
翼蛇の大木のような尻尾が上から振り下ろされ、轟音と共に大地に巨大な穴が穿たれた。

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