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魔堂戦記
官能リレー小説 - 戦争

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魔堂戦記 6

目の前――実際には距離は三百メートル以上放たれてるのだろうが、あまりの巨躯ゆえに間近に見える程の大妖怪と神獣が地震のような咆哮をあげて対峙していた。
黄金のように輝く体毛を持ち九つの尻尾を槍のように構えながら牙の間から灼熱の炎を噴き上げる妖怪王とも噂される金毛白面九尾ノ狐が飛び掛り、その爪を振り下ろす。
「ギィッ!」
敵は爪の一撃を空に飛ぶことで交わした。
交わされた九尾ノ爪は大地を削り、深々と五つの亀裂を作りだす。
そこへ敵もまた上空で蛇のようにうねる蛇尾を振り下ろした。
「ガアッ!」
まるで山一つが落ちてくるような破壊力を九尾は辛うじてかわす。
敵は赤鱗を纏った巨大な西洋の龍だった。
真っ赤に染まる鱗に優雅な鬣。羽ばたく翼は驚くことに四枚。
従来の竜族ではなく上位の皇族に値する龍だということがわかる。
二体の間で渦巻く魔力と妖気の対流はそれだけで木々を薙ぎ払い、雑魚の魑魅魍魎を霧散させた。
「おーい、止めてくれ。地形が変わっちまう!」
一生懸命、両腕を振ってタケルはアピールするが二大怪獣達は闘争に全然気付いてない。
二人の間で無数の魔術と妖術が炸裂し、その余波で山が震え、空に浮かんだ雲が消し飛ぶ。
「グルルルルッ!!」
「ギイイイイッ!!」
「あー畜生。力を使うしかねぇな、これじゃ・・・あー、嫌だな。マジで嫌だな。だけどそれ以外に方法はねぇし。くそ」
文句を垂らしながらもタケルは体中に走る魔力の循環を活性化させる。
タケル能力である魔力が特有の存在を引き寄せる≪フェロモン体質≫
魔王がシモベである魔人達を引き寄せるように、勇者が仲間である光の眷属を集めるように、あるいは人間が特定の動物に好かれるように、魔力フェロモンはそれほど珍しい体質じゃない。
だがタケルのフェロモン体質は異常だった。
「ぐっ!」
奥歯を噛み締めながら体内を巡る魔力を更に高める。
玉汗が頬を滴り、全身から立ち昇る魔力は湯気のように辺りに漂い始める。
「・・・・・がる?」
「・・・・・ぎい?」
睨み合い、それぞれの最高の攻撃。≪ドラゴンブレス≫と≪九火葬妖界獄≫を放とうとしていた二大怪獣の動きがピタリと止まり、その視線が一気に双方から外れタケルへと向けられた。

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