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魔堂戦記
官能リレー小説 - 戦争

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魔堂戦記 5


『1、邂逅』

今日はえらく九尾の機嫌が悪かった。
昨日やりすぎたのがさすがに迷惑だったのかと思って謝罪したが九尾は青白い鬼火を漂わせ怒りの視線を注ぎ込むばかり。
・・・・・そればかりか。
「流れてしまった・・・・ハァ・・・・流れてしまった・・・・」
と同じようなことをずっと呟き続けている。
一体、なんのことかはわからないが、何か大切なものを川で流してしまったのかもしれない。
「どうっすかな」
謝ったほうがいいんだろうが、何に謝ればいいのかわからなければ怒りを逆撫でするだけだろう。
タケルは困惑の溜息を漏らしながら霊峰イヴァルエ山を歩く。
イヴァルエ山、このマークスタ王国で雷神の棲む山と呼ばれている。信奉の由来は山の上空に常にある積乱雲から迸る雷光からだ。
タケル達はこのイヴァルエ山を歩いて隣の国カークスに向う途中だった。
「ん?」
その途中、タケルは眉を潜める。
イヴァルエ山に不自然な雷光が閃いたからだ。
落雷が多い山として有名だが、さすがにあれは違和感がある。
「九尾」
「・・・・・・・・・ハァ」
警戒するように言うが彼女は溜息を漏らすばかり。
しょうがないとばかりに腰の鞘から刀を引き抜くと、ほぼ同時に上空の暗雲から落雷が降り注ぐ。
「ッ!」
東方の鍛冶の女神より与えられた『護神』の力を持つ刀が青白い光を纏うと共に、落雷が逸れ、側の大木に突き刺さる。爆音と轟音が響き渡り一瞬で雷火に包まれる樹木。
崩れ落ちる大木から逃れ、視線を上に向けると共に上空より物凄い速度、今先の落雷にも匹敵する速度で落下―――いや、吶喊してくる人影。
「こんのぉ!糞ガキがぁぁぁぁっ!!」
よく見れば吶喊してくる人影は見覚えがある女性だった。
「あ、イイエ」
思わず呟くと共にタケルの側頭部に問答無用の蹴りが叩き込まれ、勢いよく三百メートル以上吹き飛ばされた。



タケルは暫く気絶していた。意識を取り戻すと共に凄まじい鈍痛が頭を襲う。
「グアッ!」
あれほどの攻撃をくらって生きているのは護神の力と他の神々の加護のおかげだ。
普通だったら間違いなく即死してもおかしくない。
「まったくイイエは少し手加減してもいいだろ」
思わず愚痴ながらもタケルは激しい鈍痛を堪えて立ち上がり――、
「グルオオオオオオオッ!!!」
「ギイイイイイイイイッ!!!」
「嘘だろ?」
目の前で引き起こる非常識に思わず顔をなんともいえない表情で青褪めた。

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