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魔堂戦記
官能リレー小説 - 戦争

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魔堂戦記 15

「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
言葉を失うミルファに九尾の手を外しながら武は答える。
「以前、付き合っていた神様と出来た子が雫。その神様がいなくなったから俺が育てたんだけど、運悪く雫は人間よりも神様よりだったわけ」
武が奥歯を噛み締め、唇から血が零れ落ちる。
「さすがに娘まで犯すことには耐え切れなって自分の腹を裂いたけど・・・・・・・・・・死ねなかった」
「おぬしは冥府にも愛されておるからな」
弁護にもなっていない九尾の台詞に苛立ちながら、武は顔を抑える。
「その後は酷いもんだった。腐れ落ちた果実のように甘く爛れるような時間を雫と交わって過ごしてただけだ。その間も自己嫌悪が極まって何度も死のうとしたが、無理だった。雫には悪いことをしたと思う。こんな父親じゃなかったらあいつは普通の幸せを手に入れられた筈だ。そういう意味も込めて今、雫には謝罪と親子の情しかない。すまないと想うし、あいつが困っていたら何をしてでも助けてやろうとも想う。だが恋人になるのはもう無理だ」
「あ、いや、その・・・・そこまで聞いてはなかったんですが・・・・ごめんなさい」
血反吐を吐くような謝罪と自己憎悪にミリファはタケルに頭を下げた。
タケルもまたいらぬことまで叫んだと気付いたのか、全身の力が抜けるように肩をすくめると、柔らかに微笑む。
「ごめん。娘の妻――というか、息子の妻に言う言葉じゃなかったね」
その頬をギュッと掴む九尾の指。
「空気の読めん奴め。妾に謝れ」
ミルファはなんで貴方に?とは思ったが口には出さず、タケルは頭を掻きながら頭を下げる。
「悪かった」
「ゆるさん」
「なんで?」
思わず口を出してしまったミルファを睨むように見た後、九尾はタケルの両方の頬を引っ張る。
「お、ま、え、は!沢山よりたった一人の女を愛するんじゃなかったのか?」
「あ、いや、そうだけど」
「なら昔の女を引きずるな!少なくとも妾の前でそんな話をするな!」
「・・・・・・昔の女っていうより娘なんだけど。あががっ!!」
妖怪の腕力で頬が引き千切れそうなばかりに引っ張られ悲鳴をあげる。化神した時の比じゃないが、それでも並の大男を拳一つで吹き飛ばさせる人外の握力だ。

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