PiPi's World 投稿小説

魔堂戦記
官能リレー小説 - 戦争

の最初へ
 12
 14
の最後へ

魔堂戦記 14

名前を知られると術をかけられやすい。それらを防ぐ為に家族でも愛称で会話する部族は知っている。
「あ、いえ、そういうことじゃないんです。ただ・・・。まぁ、結局ばれることですしね。私の名前は高越ミリファです」
彼女の名前を聞いてタケルの顔が硬直した。暫く硬直した後、呻くように尋ねる。
「・・・・・・・高越ってまさか?」
「はい。雫の側妻の一人です」
「またアイツ、奥さん増やしてるの?」
「ええ、私がいたのは三ヶ月足らずぐらいでしたが一週間に一人ぐらいで増えてましたね」
「・・・・・・・・・あの馬鹿」
タケルは肩を落として溜息をつく。九尾は別に興味ないとばかりに茶菓子に手を伸ばしていた。ここら辺の特産なのか果実を切って砂糖につけたドライフルーツのような菓子だ。
タケルが他の男の妻を寝取らないと信用してるのか、それともタケルの毒が普通の人間には効かない事をわかってるのか、多分、三、七ぐらいだろう。
「ううっ、頭が痛い。それで雫は夫は集めてた?」
「いいえ、雫は妻は結構いましたけど夫はいません」
「ぐっ、それも集めればいいのに」
泣き言のように呟くタケルにミリファの瞳が細まる。
「雫はひねくれ者ですけど一途なんですよ」
「わかってるよ。だけどいい加減、卒業してもいい頃だ。俺みたいな毒に浸かってたら駄目になる」
タケルはそう呟くとミリファは瞳を細くして睨む。
「貴方の生き様は人としては尊敬します。でも女から見たら最低ですね」
「わかってるさ、そのくらい。だから雫もとっとと新しい男を作って幸せに過ごしてもらいたいんだよ」
タケルは溜息をつきながら立ち上がる。側にあった深紅の鞘を腰元のベルトに差込み、ミリファを見る。どこまでも優しく澄み切ってるくせに、どこまでも諦観している瞳に彼女の背筋が震えた。
「俺に依頼ってことは内容は大体わかる。案内してくれ」



「そういえば・・・・・」
「ん?」
ミリファの案内で蛇神の棲家へと歩いている途中、ふと彼女は武に尋ねた。武と九尾が歩きながらも手を合わせる様子を呆れながら。
「貴方と雫の関係は元恋人? それとも元夫婦?」
「どちらも違う」
武は過去の懐かしさを思い出すような笑顔で最悪な言葉を紡ぐ。
「親子だよ。俺はあいつの父親だ」

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す