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魔堂戦記
官能リレー小説 - 戦争

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魔堂戦記 12

九尾が咄嗟にタケルの足を掴んで飛び抜く。
唇からは血が飛び散るが、それでも立っているのはさすがだった。並みの魔獣どころか同属ですら即死する毒息なのだから。
「ちっ、やってくれる」
爛々と九尾ノ瞳に闘志が宿るが、鬼火は放たれない。
「妾はまだ大丈夫だがタケルが危険だな。・・・・・・・・つかえぬ霊刀だ」
御神刀はタケルが危険を感じた時に発動する。
見えぬ攻撃、タケルの理解できない攻撃には結界が発動しない。
判断は瞬時だった。九尾は鬼火を火の粉のように飛ばし、翼蛇の眼前で爆発させる。破壊力ではなく閃光が飛び散り、蛇の目を焼く。それでも蛇の感覚を全て防ぐのは無理だろう。元より蛇は体温で獲物を探るからだ。
「これは借りしておく。りべんじを待っておれ」
九尾はそう言うと一陣の風のように逃げ出す。翼蛇は翼より雷光を飛ばすが森の中に逃げ込んだ獣を打ち落とすことは出来なかった。
いや・・・・・・それだけでない。
お返しとばかりに森の中を切り裂いて豪火の竜が飛び出し、翼蛇の横っ腹に噛みつき、そして肉を抉る前に霧散した。
「・・・・・・・めんどくさいのぅ・・・・・」
六翼の雷神はそう呟くと再び身をくねらせながら自らの宿場へと戻っていった。





≪貴方はいつまで裏切り続ける気ですか?≫

昔の君の言葉を思い出す。
あの時は何もいえなかった。
今も・・・・おそらく何もいえないだろう。
人を騙し、神を騙し、悪魔も騙し、自分すら騙し続ける俺は嘘を塗り固めるしかない。
それが誰も救えないとしても、それしかない。
哀れというよりも無様な結末、終ることが無い悪夢のような日々を俺は漂うように生き続ける。
だから、俺はあの時と同じことを言おう。

≪■■■■■≫



「お、目が覚めたか?」
意識が戻り、目の前に九尾の玲瓏な美貌があるのに気付く。相変わらず綺麗な顔立ちだ。その紅の唇が動くのを見ながら視線を廻りに変える。そこは見慣れない木製の小さな小屋の中だった。
「大丈夫か、タケル?」
「あ、ああ、大丈夫。心配はいらないよ」
一瞬、何を心配されるのか戸惑ったが毒を食らったことを思い出す。契約した幾多の神々の中には蟲毒を司る神もいたから毒術など今まで食らったことが無いので油断していた。

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