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麻薬戦争
官能リレー小説 - 戦争

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麻薬戦争 8

過疎地故にこの様な動きをしても日本政府は警戒せずに寧ろ歓迎するほどだ……犯罪の温床にされるとは知らずに、ホテルコリアとしては危険ドラックの損失分を埋められるか瀬戸際なのだ。


碧ヶ森学園”それがホテルコリアに買収された所の一つである。


諸事情により通えなくなった理由の一つには危険ドラック吸引による後遺症がある。症例は様々だが重症になると脳の機能が損なわれ最悪寝たきりになるか日常生活を送れなくなる。
危険ドラックの服用により脳やその周辺器官を構成する細胞が破壊されるがそこがどの部分になるか……例えば呼吸器系統を掌る所なら即死する事もある。最もそうなったほうがある意味では本人や家族の為にも幸せかもしれない……一度危険ドラックを服用した為にこの学園に放り込まれた不運な学生らの運命は?



一人の教師がその区画に入る。最新鋭電子ロックがついている鉄格子の扉を白衣を来た職員が開ける。
「ごくろーさん、どうだい?」
「A−349がフラッシュバックにより抑制中」
教師は携帯端末に欠席と入力する。可愛い子だが今ではオムツ無しでは生活できない状態で、フラッシュバックと呼ばれる後遺症が頻発するのでベットに手足を縛っておかないと血だらけになる。
「課題が溜まっているが仕方ないか」
ここにいる子らはまともに勉強ができるはずもないが……最もハメられて依願退職した自分にはお似合いの職場だ。

自分は数年前にある生徒と関係を持ってしまう、その頃は色々と仕事を押し付けられ、恋人にも逃げられナーバスになっていた所で恋の告白を受けた。そして数日後には肉体を逢せる仲になっていた……その関係がバレてしまい、親が相当厳格だったのか懲戒免職を求めたがその親自身にも育児を放置した事実もあって依願退職に落ち着いた。教員免許返納して教育業界には関わらないと決めていた……が、理事長やら校長は後ろめたさから自分の転職先を探していたらしく返納手続き凍結までしてこの学園を紹介されたのである。最初は麻薬中毒者になった少年/少女らに面くっていたが慣れるとどうにもなる……例えるならサルに勉強を教えているようなもんだ。
「A−349は……ふむ、なるほどね」
報告通り彼女はフラッシュバックにより発狂しており涎を垂らし手足をばたつかせている。檻の内側にあるポストには小学生低学年の計算ドリル数冊が投函されており、すべての問題をやり終えていた。
「昔の記憶がよみがえったのか……まずかったかな」
彼女はお受験を初めとする各受験に失敗しており中学生になった時には高校受験の重圧がかけられていた。結果、リラクゼーションに手を出しアロマオイルと偽って販売された危険ドラックを吸引してしまったのである。親が気が付いた時には可也の中毒者でこの学園に放り込まれた。この様な事前情報は主治医や看護士は勿論、自分の様な教員にも提供される。彼女は順調にいけばどこかの高校に通っていただろう……だが今では小学低学年の学力が精一杯だ。これも危険ドラックによる脳細胞破壊によるものだ。
「藤さん、計算ドリルを入れておきますよ」
多分、コミュニケーション取れてないと思うがこうでもしないと教員としてやっていけない。他の病室の生徒らは比較的落ち着いているが……目が空ろになっていたり、不気味に笑っていたりする。不意に線香と供え物の花が飾られている病室を見る。数日前に心不全により命を終えた少年を弔っており、彼はここに来た時から余命幾ばくもない状態だった。

検査により脳細胞の破壊に加え萎縮も見られ、言語を掌る場所は完全に機能を停止……呼吸器を掌る所までも影響が及んでいた。家庭事情が悪く両親は息子が危険ドラック常習者である事は警察が補導するまで知らなかった……補導された場所は不良らのたまり場でガサ入れの際にトリップしてしまったのである。警察病院にて重度の中毒者と医学面からも判明……紆余曲折の末に執行猶予がついてこの学園に放り込まれたが時既に遅く……。
「……」
自分がしている事に意味があるのか……ただここにいるのは重症者であり軽症者は本当に普通の学生とは変わりない。教室はこの先にあるのだ。

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