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麻薬戦争
官能リレー小説 - 戦争

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麻薬戦争 14

「最も潜入した奴らは消されるがね……それが家族まで及ぶ事になれば」
「上もビビる訳か……」
御神の言葉に男は納得した表情で言う。
「協力者を仕立てるにせよ司法取引を躊躇していれば……こちらも後手に回る」
「難しい事になったな」
「ホテルコリアは麻薬の消費を表沙汰にしない様にした。これは事実だ」
「それよりもあいつの噂聞いた事あるか?」
「ああ地方に左遷された……どうかしたか?」
「娘が悪い男に夢中になっているよ……前歴がある」
御神は頭を掻きつつ言う。
「表沙汰になる前に処理しろと?あいつが知ったら発狂するぜ」
「そっちは上の方で抑え込む手はずだ」
「手遅れになった時には腹くくれよ」
御神の言葉に男も驚くが彼は妻や娘の二の舞になる事は避けたいのだろう……男は言う。
「上もそのつもりで動く……既に地元の査察が手筈を整えているからな」
男はある書類を出し御神はそれを二度見した。
「……たく、本当にあいつを吊るす気か?」
「そうならない様にな……」
「……結構荒っぽぽくなりますよ」
「構わんよ……クルース船売春の事は国際部も絡まないとな」
男は笑いながら喫煙室を出た。


「警視庁総監に広域捜査局局長連名の特命とは穏やかじゃないな」
「リスキーな作戦になるが、県警本部長の娘の相手がヤクの前歴者だ、未成年だったからちと分からないがね」
御神は武器庫にてハンドガンやアサルトライフルを選びテーブルの上に置き無造作に先程のファイルが置かれている。馴染みの係官はそれを見て尋常ではない事に気がつく。
「戦争する気か?」
「相手の出方次第だ……更生した振りをしている」
「厄介だな」
「まっ、あいつの娘がヤク中になっている可能性もあるがね……結構アイツに振り回されているから大学生になってハメを外しているそうだ」
「……おいおい」
「この仕事が終わったら後方支援に異動になる」
「まさか」
「安楽死の申請審議入りしたよ、許可が出るには数ヶ月か数年先になるが最後位は……夫として見送りたい」
係官の口から何も出なかった。だからこんな汚れ仕事をする気になったのだ。
「御神……」
「……あいつに引導渡せるよ、この先待っている地獄にな」
選び終え銃ケースを持って武器庫を出た。
「遅いですよリーダー」
「こんな仕事を一人でする気ですか?」
何時のも面々が待っており別の武器庫から装備品を持ちだしていた。
「……今回の仕事は成功しても露見すればおしまいだ、若い奴らには任せられない」
「あ、課長からも許可は得てますよ……それに露見したらPMCタイプの警備会社にも転職しますから」
「……好きにしろ」
どいつもこいつもバカばかりだ……だが御神は嬉しかった事に違いない。

警視庁を出て数日後、御神らは福岡市郊外にあるモーテルに拠点を構えていた。警察OBがオーナーで従業員も前科持ちの更生者で形成されており、何かと各方面の裏事情に詳しい。
「御神さんの事は“本社”から伺ってます」
「迷惑をかける事になるぞ」
「承知はしてます、今の本部長では士気も上がりません」
一室にて県警No3の男はため息交じりに言う。
「ヒモの男は麻薬常習者か?」
「加えて危険薬物使用の伺いもあります」
御神はテーブルの上にある報告書を見る。本部長の娘は大学での評判は至って普通だが件の彼氏が危ない事は大学関係者も分かっていると言う。彼の場合は不審な行動が幾多も見られている。
「密売もしているかもな」
No3の右腕である部下の刑事が腕組みする。
「だとしたらホテルコリアが密売を限られた者にしている今は新規参入も……」
「家はここです。高級マンションですが何時でも踏み込めますよ」
別の部下はニッとする。
「何時でもって……警備員が常駐する様な……ああっそう言う事か」
「ここは警察のOBの再雇用先ですからねぇ……変な犯罪を起こされたら事故物件になりますから、不動産屋や大家には好評なんですよ、民泊防止の名目による監視は」
この分だと既に出入りしている人物の洗い出しも済んでいるようだ。
「本部長を釘付けに出来る案件は無いか?出来れば市民を巻き込む事は……避けたい」
「探してみましょう」
No3の言葉に御神は頷く。

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