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いざ立て戦人よ
官能リレー小説 - 戦争

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いざ立て戦人よ 4


…ズシン…ズシン…
…ガシャン…ガシャン…

ふと、地響きと共に“何か”が近付いて来る音がした。
「……?」
エルンが音の方に目をやると、煙の中に人影が見えた。
それは有り得ない巨大さだった。
「…!?」
頭の中が“?”でいっぱいになるエルンの前に、ついに“それ”は姿を現した。
エルンは“それ”が何なのか…何と形容して良いのか解らなかった。
そんな物は今まで見た事も無かったからだ。
あえて言うなら“甲冑を身にまとった巨人”と言った所だろうか…。
身の丈は10m近くある。
外見は中世の甲冑を思わせるが、もう少し洗練されているというか、シンプルかつシャープなフォルムで、どことなく女性的な印象も与える。
装甲の継ぎ目から微妙に見える間接部分には複雑な機械のような物が見え隠れしている…すなわち“それ”が生き物ではなく機械である事を意味していた。
胸の部分には墜落した飛行機と同じ、エルフィール公国軍の識別標識が描かれている。
この機械仕掛けの巨人は公国軍の兵器なのだ…とエルンは悟った。
その装甲の各所には無数の弾痕があり、所々焼け焦げていて、しかも右腕の肘から先が無くなっていた。
酷い損傷である…まさに満身創痍といった所だが、無理も無いと思えた。
この機械巨人、デカいクセに(デカいからこそ?)非常に動きが鈍く、足取りはフラフラとおぼつかない…これでは敵機の良い的である。
「な…なんか、良く解んないけど……コイツあんまし強くなさそう!!」
エルンがそう言った時、その機械の巨人は彼の目の前で、ついに力尽きたかのようにぶっ倒れた。

ズシイィィ〜〜ンッ!!!!

「あぁ…死んだ…」
それはまるでエルフィール公国の未来を暗示しているかのようであった…。

巨人の背中が開いて中から人が出て来た。
良く見ると、なぜか全裸の男だった…。
「うぅぅ…だ…騙されたぁ…何が“戦局を一変させる新兵器”だ…とんでもない失敗作じゃないか…」
男は悪態をつきながら巨人と同じくフラフラとした力無い足取りで、いずこへともなく去って行った…。
エルンはつぶやく。
「…訳が解らない…」

その頃、エルフィール公国軍総司令部では…
「“戦人”部隊、全機応答無し!全滅した模様です!」
「しゅ…出撃から僅か10分で全滅だとぉ…ツヴァイシュタイン博士!!これは一体どういう事だぁ!!?」
顔を真っ赤にして唾を飛ばしながら怒鳴る将軍。
軍服だらけの指令室の中、一人だけ白衣をまとった、いかにも“学者です”という風貌のツヴァイシュタインと呼ばれた老博士は溜め息混じりに答えた。
「ハァ〜…だから何度も言ったじゃろうが…“戦人”は誰にでも動かせる訳ではない。“素質”を持った者でなければマトモに歩かせる事も出来んのじゃ…これからパイロットの選出に掛かろうと思っとった所じゃったのに…ワシは事前にちゃんと忠告したぞい?“戦人はまだ戦える段階ではない”と…それを強行したのはお前さん達じゃないかね?ハーメルン将軍」
「う…うるさあぁぁい!!言い訳など聞きたくない!!何のために莫大な予算を都合してやったと思っとるんだ!?素質のあるヤツしか乗れない兵器などいらんわ!!もっと汎用性のある物を作れぇ!!」

…話は再びエルン視点に戻る。
「…逃げよう…」
空襲の最中、謎の人型巨大兵器が登場した途端にぶっ倒れて中から裸の男が出て来るという意味不明すぎる光景の目撃者となったエルンであったが、お陰でいくらか冷静さを取り戻していた。
だが逃げようとしたその時、男が出て来た巨人の中から微かに声が聞こえた。
「だ…誰か…誰かいませんかぁ…助けて…ください…」
良く注意していなければ聞き逃してしまいそうな小さな声だ。
「ま…まさか、まだ中に人がいるのか…?」
エルンは倒れた巨人に近寄って中を覗いて見た。
「…っ!!?」
エルンは驚いて言葉も出なかった。
様々な計器やスイッチやレバーの並んだコックピット(らしき所)にいたのは…裸の女…だった。
四つん這いで、こちらに向かってお尻を思いっきり突き出している。
性器も肛門も丸見えだ。
胸は後ろから見ても判る…まるでメロンを二つ並べたかのような巨乳…いや爆乳である。
全体的に肉付きが良くムチムチとしたイヤらしい体型で、特に腰から下のムッチリ具合はたまらなくエロい。
だが振り向いた顔を見るとエルンと同い年くらいである事が判る…しかも美少女だ。
「き…君は…?」
エルンは顔を真っ赤にして尋ねた。
見ては悪いと思い、少女から視線を逸らそうとするが、どうしても目が行ってしまう…。
少女は言った。
「はぁ…はぁ…わ…私は…この戦人(センジン)の補助パイロットです…お願い…この拘束具をはずして外に出してください…」
少女は何故か疲れているように見えた。
良く見ると彼女の手足は革ベルトでガッチリと固定されている。
「せ…戦人…?」
「…はい、人型戦闘機…略して“戦人”です」
それじゃあ“戦人”じゃなくて“人戦”になるんじゃないのか?…と一瞬思ったエルンであったが、今は深くツッコんでいる場合ではない。
「な…なんか良く解らないけど…解った!いま助けてあげるね」
エルンは少女を拘束するベルトを外そうとするが…
「あれ?…クソッ…なかなか外れないなコレ…」
…意外と強固な固定具に悪戦苦闘する。
戦闘機のクセに…搭乗員が脱出する時の事を想定していないのか。

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