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蒼海の戦乙女たち
官能リレー小説 - 戦争

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蒼海の戦乙女たち 10


「ふぅ…」
何とか逃げて来たアルフレッド…。
だが油断は禁物。
逃げた先でも真っ白い詰め襟のローランド海軍将校の制服を目ざとく見つけた娼婦達が“獲物が来た”とばかりに目を光らせて寄ってくる。
「お兄さぁ〜ん♪」
「私とイイ事しましょうよぉ〜」
「わ…悪いけど急いでるんだ!また今度…!」
もちろん今度など無い。
こうなると(酒のせいもあるのだろうが)寄って来る女がみんな老女に見える。
まあ既に相手の顔なんていちいち確認していないので、中には若い女も一人か二人くらいはいたかも知れないが…。

…ようやく人気の無い所まで来たアルフレッドは、ホッと一息ついて辺りを見回した。
「…どこだ、ここ…?」
どうやら娼婦達から逃げ回っている内に表通りから中道に入ってしまったらしい。
(何だか妙に疲れたなぁ…もう船に戻りたいけど…港はどっちだ?)
キョロキョロと辺りを見回しながら歩いていると、どこからか何やら声が聞こえる…。
「…ア…アァン…アン…」
見ると、物影の暗がりで男女(若い娼婦と水夫らしき男)が抱き合って互いの体をまさぐり合いながら熱い接吻を交わしていた。
「…っ!!!!」
顔を赤くして逃げるようにその場から立ち去るアルフレッド…まあ娼館街から一本中道に入れば、珍しくもないありふれた光景である。
「うっ…」
彼は股間に疼きを感じて視線を下に落とす…“やはり”というべきか…今ので勃ってしまっていた。
(参ったなぁ…)
こうなったら適当な娼婦を見付けてする解消させてもらうか…そう思った時だった。
「…や…やめてぇ…!」
「へへへェ…良いじゃねえかよぉ〜!」
「そうだぁ!ケチケチすんなぁ!」
通りの先から何やら揉めている男女の声が聞こえてきた。

行ってみると二人の水兵が女を壁際に追い詰めて犯そうとしていた。
女の服は上半身が引き裂かれ、乳房が見えている。
アルフレッドは叫んだ。
「…おい!!お前達、そこで何をしている!!?」
「…ゲッ!?」
「逃げろ…!!」
アルフレッドの姿を見た水兵達は慌てて逃げて行った。
士官だと思われたようだ(実際は準士官だが)。
(…エスメラルダ号の乗組員ではないようだったが…クソッ!王国海軍の恥さらし共め!)
追い掛けたかったが今は女が心配だ。
「あの…大丈夫でしたか?」
「ええ、ありがとう…」
女は礼を言うと乱れた衣服を整えた。
「怪我とかはありませんか?どこか痛いところは?」
「いえ…おかげさまで平気です」
女は微笑むと立ち上がった。
美しい女性だった。
歳はまだ二十代前半といった感じだろうか。
腰まで届く長い黒髪に青い瞳をした美女で、すらりと背が高く胸が大きい。
彼女の服はかなり引き裂かれてしまっていて人前に出られる状態ではなかった為、アルフレッドは自分の上衣を脱いで彼女に渡した。
「これで破れた所を隠して下さい。さっきの奴らに乱暴されたんでしょう?」
「すみません…お借りしますね」
彼女は受け取った上衣で前を隠しつつ、アルフレッドに尋ねた。
「貴方は船乗りさんですか?」
「はい、そうですよ」
「この辺りで青い丸と赤い矢印が描かれた帆船を見ませんでしたか?私はある方を探して旅をしているのですが…」
アルフレッドは首を傾げた。そんな目立つ船を見かけたら覚えていそうなものだし、ローランド海軍にそういうマークの船は無い。
もしかしたら海賊船かもしれなかった。
海軍の居る今の時代、大規模な海賊組織は壊滅したが小人数の無法者ならどこにでも居た。少人数の海賊であればこちらが知らないというのも無理はない。
「いいえ、見掛けませんでしたが…その船がどうかしましたか?」
「いえ…別に…」
女性は何か言いたげにしていたが、結局それ以上何も言わずに走り去って行った。
(変な女だな…)
その後、しばらく娼館街を歩き回ったが、その女には二度と会わなかった…。
一方その頃、アルフレッドから逃げた水兵二人は路地裏の行き止まりまで来ていた。
「ここまでくればもう安心だろうぜ…」
「ああ、そうだな…」
「…ところで、あいつ誰なんだ?」
「知らねぇよ、あんな野郎…」
「だけどよぉ、あのままあの女を逃がしちまって良かったのか?もったいないぜ…」
「確かになぁ…アレはなかなかの上玉だったしな」
水兵二人は剥き出しになった乳房を思い出して、またしても股間が熱くなるのを感じた。

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