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征服と支配
官能リレー小説 - 戦争

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征服と支配 4

収容所の牢獄は改造され、獄内は一段深くなっていた。
そこには水が張られ水牢と化していた。
若い隊員が両手に砕かれた氷が入った大きなバケツを下げて通路を進んでいたがアルトに気付くと壁に張り付くように道を譲り、両手が塞がっているので不動の姿勢の敬礼を送った。
アルトは軽く手を挙げ返礼とし平隊員に「続けろ」と言った。
隊員たちは早足で通り過ぎ、牢屋の前にバケツを下ろすとスコップで中に氷を放り込んだ。
牢内から掠れた悲鳴やすすり泣く声が聞こえる。
室内には古びた夏用パジャマより劣る囚人服を着せられたエルミナの貴族や重臣達がいる。
ベッドなどは取り払われ何も無かった。
そして足首まである水から体を遠ざける術は無く、常に足を水に浸していた。
座れば尻に水に浸り、寝れば全身が水に浸かる。
石壁は冷たく寄りかかれば体温の低下を吸われ、彼らは最低限の消耗で済ませるためには部屋の中央で立ち尽くすしかなかった。
そんな彼らは中々国王の居場所などの情報を割らずにいた。
そこで水牢に氷を入れるという案が出てきたのである。
「口を割った奴はいるか?」
牢獄の守備隊長はアルトの問いに顔を曇らせて「いえ、まだ誰も」と答えた。
「自害者も無しか…。(救出や反抗作戦があるのかもしれない。警備強化を見直すべきかもしれん)」
「いっそ、拷問に掛けた方が早いのでは?」
隊長が問いかけてくるがアルトは「今でも十分拷問だろう」と答えた。
去り際に囚人達に「今なら恩赦があるぞ」と言っても、泣きべそをもらし「助けて…助けて…」ともらす囚人も誰もそれに乗ってこなかった。
「まったく、忠義な事だな…」
そう言うとアルトは地下牢を後にし、別の部屋へと向かった。

そこでは尋問が行われていた。
「どうだ、吐いたか?」
「いえ、大佐。まったく口を割りません」
「少しやり方を変えてみるか…」
アルトの視線の先には二人の女の姿があった。
妙齢の女と年若い娘。
二人とも全裸で天井から吊された鎖に両手を縛られて、美しい裸体を隠す事も出来ず男達の目の前に晒していた。
一人はエミリア・マルケーノ、36歳。
王宮のメイド長を務めていた女で、元は王女の乳母だった。
淡い栗色の豊かな長髪に翠色の瞳の美女である。
もう一人はクラリス・マルケーノ、16歳。
エミリアの娘で、彼女自身も王宮で働くメイドだった。
つまり国王一家に最も近しかった母娘と言っても過言ではない。
二人の背中や尻には何度も何度も鞭で打たれた跡があった。
さすがに皮膚が裂けるまでではないが、真っ赤に腫れ上がっていて痛々しい。
母娘はうつむいたままシクシクとすすり泣いている。
アルトはエミリアの前に立つと、彼女の顎を掴んで顔を上げて尋ねた。
「そろそろ吐いて楽になったらどうだ?お前達の主人の居所…何かあった時のための隠れ場所か何か…お前なら知っているだろう?」
「た…例え知っていたとしても、あなた達には死んでも教えないわ…」
エミリアは涙を流しながらも毅然とした表情と口調で言った。
「もう許してぇ〜〜!!私達本当に何も知らないんですぅ〜〜!!」
もう耐えきれないとばかりに娘のクラリスが泣き崩れた。

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