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征服と支配
官能リレー小説 - 戦争

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征服と支配 1

「良いか、諸君!」
士官学校の教官が居並ぶ生徒達に向かって言った。
「諸君らは厳しい入学試験を通過し、本日、栄えある我がイストニア帝国軍士官学校に入学を許された!諸君らも知っての通り、我がイストニア帝国は古代の神々の末裔たる我らイストン民族が支配する、この地上で唯一絶対にして神聖なる国家だ!ゆえに他の民族を支配し、世界に正しき秩序と平和をもたらすべく人類を導くのは、天の神々が我が民族に与えた使命である!!諸君らも帝国のために命を捧げる覚悟で訓練に励んでもらいたい!!」
生徒達は目を輝かせて教官の訓示に聞き入っていた。アルト・フォン・シュテルンもその一人だった。彼らは皆、信じていた。自分達は神々の子孫、自分達が世界を支配するのは当然だと…。


それから十年後。隣国エルミナ王国の王宮にアルトはいた。
「シュテルン大佐!隅々まで探しましたが、国王一家は発見出来ませんでした!王宮の地下道を通って脱出した模様です!」
「そうか…第一大隊のみ捜索任務を続行、後の部隊は市内の制圧と治安回復に回せ」
「はっ!」
去って行く部下の背中を見送りながらアルトは一人つぶやいた。
「ついに始まったか…世界統一聖戦…ずいぶん大層な名前を付けたもんだ」
少年アルトが理想に燃えて士官学校に入学したあの日から十年…今、イストニア帝国はついに世界征服に向けて行動を開始したのであった。
その最初の餌食となったのが隣国エルミナ王国だった。領土も軍事力もイストニアの半分も無い小国だが、豊かな自然と天然資源に恵まれ、産業が盛んだった。
国境地帯での小競り合いを除けば、ここ百年ほどは戦争をしていない平和な国だった。
三日前、イストニア軍は宣戦布告も無しに突如エルミナの国境を突破し、破竹の勢いで進撃して行った。完全に不意を突かれたエルミナ側は成す術も無く、三日で王都を奪われてしまったのであった。その最初に王都を制圧した部隊がアルト率いる帝国軍歩兵第三連隊だったのだが…。
アルトは通信機の前に立ち、言った。
「通信兵、司令部に繋いでくれ」
「はっ!」
『こちらエルミナ進攻軍総司令部』
「第三連隊長シュテルン大佐だ。ヒスター将軍を頼む」
『お待ちください』
しばらくして将軍が出た。
『何だシュテルン!?我が輩のティータイムを邪魔するなど本来なら銃殺ものだぞ!』
「申し訳ありません閣下。“豚”を取り逃がしました」
『何ぃ!?』
“豚”とはエルミナ国王を指す暗号だ。イストニア上層部は国王を捕らえてエルミナ征服後の平定に利用しようと考えていた。
『何としてでも探し出せ!ヤツは必ず生きて捕らえねばならん。皇帝陛下の足元にひざまずかせて未来永劫、帝国への隷従を誓わせるのだ。そうだ!ヤツには美しいと評判の妻と娘がいたな。良い事がある。そいつらを裸にして首に縄をかけ、帝都を引き回してやるのだ』

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