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征服と支配
官能リレー小説 - 戦争

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征服と支配 3

しばらくは単調な日々が続いた。
数年後、イストニアが外国で起きた戦争に出兵する事になった。幸か不幸か、アルト達の部隊にも命令が下った。若い士官達は喜び勇んだ。初めての実戦である。望んで軍人という道を選んだからには、やはり戦場に出たかった。
だが兵士達は違った。イストニアは徴兵制で、彼らは故郷に田畑や家族を残していた。
年配の士官達も同様だった。彼らは十年以上前の戦争に従軍して実戦を経験していた。
若い士官だけが浮かれていた。
「ついに帝国のために役立てる時が来たな!」
「見てろよ?俺が敵将を仕留めてやる!」
「俺は手柄を立てて将軍になるぞ!」
「街を占領して現地の女の子と…」
だが、そんな彼らの希望は戦場に着いた瞬間に打ち砕かれた。現実の戦争には美しさも輝かしさも無かった。
砲弾銃弾が雨あられと降り注ぎ、その度に人々はバタバタと死に、死体は山となり、血の川が流れた。辺りには片付けきれない人間の首や手足が転がったまま。餓えと寒さと腐臭が正気を奪い、自殺者が続出。まさに生き地獄だった。
アルトは生きるために敵を殺し続け、気付いたら英雄と呼ばれていた。戦争が終わってイストニアに戻ると大佐として連隊を任された。異例の大出世であり嬉しかったが、素直には喜べなかった。

「ふむ、なかなか良い建物だ。ま、我がイストニアの皇宮に比べれば劣るが…」
一行はイストニアの軍旗が翻る王宮に辿り着いた。アルトは奥を指し示して言った。
「お疲れでしょう閣下、最高級のお部屋を用意してございます。国王の寝室だった部屋です。どうぞごゆっくりお休みください」
「うむ、そうさせて貰うとしよう…」
ふとヒスターは気付いたように副官に言った。
「そうだ。さっきの女、後で寝室に寄越せ」
「かしこまりました、閣下!」
副官はカツンと勢い良く靴を鳴らして敬礼して言った。

「さて、俺は仕事に戻るか…」
宮殿の中に消えて行くヒスターの後ろ姿を見送りながらアルトは溜め息混じりにつぶやく。彼は軍用車に乗り、王都の郊外へ向かった。行き先は刑務所だ。
そこは占領軍の政治犯収容所となっていた。投獄されているのは逃げ遅れた貴族や重臣達とその家族である。
元々いた囚人達は、軽犯は地方の刑務所に移し、重犯は殺された。

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