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大空の侍達
官能リレー小説 - 戦争

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大空の侍達 4

「「では、南房連隊長殿、失礼いたします!」」
そして昇は簡素だが使い易い造りの士官用個室へ案内され、私物を置くと部隊詰所へ案内された。
部隊詰所には、数人の軍人が詰めていた。
若い中尉や少尉、曹長などが男女取り混ぜて10名ほどいた。
昇の大尉の階級章を見た彼らは一斉に敬礼する。
答礼しつつ、昇は言った。「日賀 昇大尉だ。本日付で当隊の飛行隊長を拝命した。まずは操縦術を学ぶことになるのだが、よろしく頼む。」
「「「はっ!」」」
部隊員たちは返事した。
すると長身の女士官が、1冊の本を持って前に出た。
身長は昇と同じくらい。恵ほどではないが長い黒髪をさらっと流している。美人だ。
「私は、隊長殿の操縦教育担当を命ぜられました柴田 綾(しばた あや)中尉であります。こちらが教範であります。講習及び訓練は明日からとなりますので、今晩中にこの教範を読み通してください。」
言うと彼女はちょっとした長編小説ほどの厚さのある大判の本を差し出した。
表紙には「大和国陸軍飛行器操縦教範基本編1910年版」と書かれていた。

ぐぉぉぉぉぉ〜〜〜!!
昇が教範を手にすると同時に、またも外から爆音が響いてきた。
窓から外をみると、先ほどと同じ形の飛行器が両翼の機械から炎を後ろへ吐いて飛行していた。
「あれは何か事故か実験か?火を噴いているぞ?」
あやはその質問に、笑顔で答える。
「ご心配ありません。あれはコアンダ機関と申しまして、自動車のものと同じ原理の発動機で空気を吹き込み、吹き込んだ空気に燃料を吹き付けて燃焼室で燃やしてその炎と発動機の送気風力とを合わせた力で機体を前に押すものなのです。」
「何だか物騒な代物だな。」
「初心者の飛行訓練には二宮式五型複座練習機を用います。こちらは送気回転翼・・艦船でいうスクリュープロペラと同じ原理で動く空中用のものをガソリン発動機で回して飛ぶものです。現物を一度ご覧になったほうがよろしいでしょう。大尉殿、お越しください。」
あやに促され、昇は詰所を出ると彼女について行く。
着いた場所は、格納庫のひとつだった。
そこには器体の先端部にプロペラを着けた、どこか丸っこいデザインの飛行器が置かれていた。
「なんというか、さっきの器体と比べるとなんだか可愛らしいな。」
昇の感想に、あやはクスリと笑うと答えた。
「あの器体を暴れ馬とすればこちらは人に慣れた馬です。」
「そういうことか。」
あやの的確な例えに昇は納得した。
「ともかく、まずは先ほどお渡しした教本をお読みください。」
「ありがとう。そうするよ。」
昇は自室へ戻ると、教本を読み始めた。
文章は平易で、分かり易い。

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