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大空の侍達
官能リレー小説 - 戦争

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大空の侍達 7

「そうでしょう。でもこれだけではありませんよ」
背面で直線飛行を少し行うと、先と同じ機首上げの動作を行う。
たちまちのうちに昇の頭上にあった大地が視界に迫るがそれが眼下に消え、大空が戻ってくる。
水平飛行に戻すと、今度は左右の翼の舵を逆に操作し、機体を左にくるんと回転させる。
「うおっ!」
「こういう事も出来ます」
またも天地が入れ替わり、昇は驚いていた。さらにもう半回転させて、綾は水平飛行に戻した。

「天地が入れ替わるとは、驚いたな」
「大地を頭上に眺めるのが、空を飛ぶ者の特権ですよ」
昇の驚きに、笑うような声で綾が返す。
「宙返りしたり、横転したり、次は何をするんだい?」
「では、次はこれです。行きますよ。強い力がかかりますので気を付けてください」
「ああ」
昇が答えると、綾は出力幹を押し込み、発動機が高鳴る。
機速が上がり、昇と綾の背中がさらに押される。頃は良しと見ると、今度は機体を右に90度近くも倒した。大地が視界の右半分近くを占め、そのまま、右に広がる大地が反時計回りに動いていく。
昇は強いGがかかり、血流が脚に向かう。それに耐えながら叫ぶように言った。
「うおっ!さっき以上に力がかかるな」
「これが、垂直旋回です」
答える綾も、重荷を負いながら話すような声になっている。
よく見ると、大地が少しずつ近づいているようだ。
彼らの右側で大地がほぼ一回転すると、綾は機体を水平に戻した。
全身にかかる力が軽くなって、血流の具合が戻ってくると昇は言った。
「こんなこともできるんだな……」
「もし飛行器が敵の飛行器と戦うとなれば、こうして急激な旋回や宙返りなどの機動を行うことになると言われています。また、地上を襲う時も急激に高度を下げて一気に銃撃や爆弾投下を行ってまた上空に逃げることになるだろうと考えられています。大尉にもこうした機動ができるように操縦法を身に着けていただくことになります」
「この強烈な動きをか!そうだな。敵は必死に銃火を打ち上げてくるだろうからな。わかった、よろしく頼む」
「はい、大尉。では、そろそろ戻りましょう。燃料にも限りがあります」
「わかった。訓練では、よろしく頼むぞ」
「はい!」
綾がゆっくりと器体を旋回させて、基地へ向かう進路を取った。
まもなく、元の基地が見えてきた。
(俺も明日から、ああした動きができるように鍛えなくてはな。隊長として、恥じないように、少しでも強くなって仲間の役に立てるように)


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