PiPi's World 投稿小説

大空の侍達
官能リレー小説 - 戦争

の最初へ
 -1
 1
の最後へ

大空の侍達 1

大陸の東の海に浮かぶ小さな島国、大和国は500年に渡って鎖国をしていた。しかし聖暦1900年、ついに西方諸国の圧力に屈して開国する。
開国してみて大和国の人々は驚いた。西方諸国は強大な軍事力で南方、東方、新大陸、世界中を植民地にして支配していたのだ。
このままでは大和国も侵略されて国民全員奴隷にさせられるかも知れない。
危機感を抱いた大和国は国を挙げて西方化を推し進めた。政治、経済、軍事など、様々な分野の専門家を西方諸国から招き入れ、驚異的な早さで近代国家を作り上げていった。
それから10年後、聖暦1910年…
場所は大和国の首都、皇京都。兵部省の建物から一人の若い士官が浮かない顔で出て来た。日賀 昇(ヒガ ノボル)。20歳の陸軍大尉である。
「はぁ…何で俺が…」
彼は騎兵だった。騎兵と言えば一昔前の軍隊では花形だ。ところが、ついさっき彼に部署移動の命令が下った。彼の新しい配属先は…
「航空隊って…そんな所で一体何をしろっていうんだ…」

聖暦1905年、大和国軍は飛行機械の開発に成功した。
“飛行器”と名付けられたこの新兵器は、戦いの方法を大きく変えるであろうと期待されたが、実際に飛ばしてみると、使い勝手が悪く、危険であり、大した役には立たなかった。
爆弾を積んで敵陣の上空まで飛んで行って落とす…という作戦も考えられたが、爆弾が重くて飛び上がれない。
それに、そういう事なら飛行船がいた。
唯一の取り得は足が早い事なので、敵陣の偵察くらいには使えるだろうと、細々と生存の道を許された新兵器であった。
ところが、今度この飛行器だけで構成された部隊が新設される事となり、その隊長に選ばれたのが昇だった。
「蚊トンボばっかり集めて何させようってんだろう?あぁ、ずっと騎兵でいたかったなぁ…」
昇がそんな風に上の空で歩いていると、声をかけられた。
「あのう…日賀大尉殿でいらっしゃいますか?」
声のした方を見ると一人の女士官が立っていた。軍服に身を包んでいるが、まだ少女のように見える。長い黒髪を後ろで縛っていた。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す