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大空の侍達
官能リレー小説 - 戦争

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大空の侍達 3

「何の音だ?」
「飛行器の飛行音です。主に発動機の音ですね。」
音のするほうを見ると、滑走路上空をまっすぐに飛ぶ飛行器の姿があった。
その姿に昇は驚いて、恵に聞いた。
「おい!火を噴いてるぞ!事故じゃないのか!」
なにしろその「飛行器」なるものは、左右の翼に何か機械(さすがに昇も発動機だろうと見当はつけたが)が付いていて、炎を後ろへと吐いているのだ。
「あれこそは我が軍が「飛行器」を本格的に兵器として運用するきっかけとなった発動機、コアンダ機関というのですが、それを搭載した試作器です。」
そうこうしているうちに、車は司令部前へとたどり着いた。
恵は決して機械音痴でもなんでもなく、きちんと運転できる能力の持ち主だった。
衛兵がやってきたので2人は再び身分証を見せると、その兵は司令部棟へ入っていって、すぐに戻ってきた。
「日賀 昇大尉殿と伊勢 恵少尉殿ですね。失礼いたしました。」
恵は昇を降ろすと駐車場へ自動車を戻して、駆け戻ってきた。
長く綺麗な髪が揺れている。ついでに胸もちょっと揺れている。
「では入りましょう。」
司令部棟の廊下を少し歩くと、「司令官室」の札のかかった部屋の前に来た。
コンコン
ノックの音とともに、恵は言った。
「伊勢少尉であります。日賀大尉殿をお連れしました。」
「入りなさい。」
2人が入ると、大きな机を前にして大柄な男が立っていた。
階級章からして大佐のようだ。
即座に2人は彼に敬礼する。
「伊勢少尉、ごくろうだった。君が日賀大尉だね。私は第一飛行連隊長兼大里基地司令の南房 龍輔(なんぼう りゅうすけ)大佐だ。」
敬礼の姿勢のまま昇は言った。
「日賀 昇大尉であります!第一飛行連隊配属を拝命し、只今着任いたしました!」
答礼しながら南房大佐が答える。
「日賀大尉の着任を認める。兵科違いで最初は大変だろうが、よろしく頼むぞ。ところで君は元は騎兵科だったね。」
「はい。」
「ならば、現在の騎兵の本領が後方偵察、攪乱任務、及び敵騎兵のそうした行動の阻止。これに尽きることは理解していると思う。」
「はい。先の戦争では機関銃が多用され、歩兵、とりわけ陣地に拠る敵に騎兵突撃をかけても騎兵はなぎ倒されるだけの存在となりました。」
「そうだ。だからこそ君を「飛行器」の部隊長に配することにしたのだ。これからは「飛行器」が敵陣地や後方を偵察する。
またはそうした敵の意図を阻止する役目を担う事となるだろう。いわば新時代の騎兵だ。」
南房大佐の発言に、昇は答えた。
「しかし、小官は飛行器の扱い方を習得しておりません。」
「それは明日から訓練を受けてもらう。君の部下になる者の一部は既に「飛行器」の操縦術を習得している。
他の部下と共に、君も操縦術を習得するのだ。部隊詰所に教練担当の者がいる。その者が教範を渡すから、受け取ったら読んでおきたまえ。その前に君の個室に案内させよう。伊勢少尉。」
「はい。日賀大尉殿を個室及び部隊詰所へ案内いたします。」

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