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大空の侍達
官能リレー小説 - 戦争

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大空の侍達 2

「そ…そうだが、君は?」
それを聞いた少女の顔がパッと明るくなった。
「あ、良かったぁ〜!私は大和国陸軍航空隊、伊勢 恵(イセ メグミ)少尉と申します。大尉殿をお迎えに上がりました!」
「迎えと言っても、馬車も人力車も無いようだが…」
「あれです!」
「コレは…!」
恵が指差した先にあったのは初期のガソリン自動車であった。
「ゲルマニアで発明された物を輸入して、我が軍の技術者が改良したんです!凄いでしょう?」
得意気に話す恵。だが昇は不安だった。彼は自動車という物を見たのは初めてだった。
(こんなのが走るのか?しかも運転するのは…)
恵を見る。こんな娘にこんな複雑な機械が操れるとは思えない。世の多くの男がそうであるように、昇もまた“女は機械に弱い”という偏見の持ち主であった。
(軍人とはいえこんな可愛い娘が事故に遭ったら嫌だな・・・。)
恵は童顔の美人なのだが、その童顔がこの場では逆に昇の不安を増やしていた。
そんな恵に促され、後部座席に乗り込む。
「少々お待ちください。発動機を動かします。」
恵はそう言うと車の前に回りこみ、ボンネット前面の穴に起動転把・・・手回し式の起動ハンドルを差込み、「せいっ!」という掛け声とともにハンドルを思い切りよく回す。そしてすばやく前部右側の運転席に乗り込み、ウェイトの慣性で回っている起動輪に発動機を繋ぎ、点火スイッチを押した。
ボウウン!という音と共に、発動機が起動する。
「では出発します。」
ゆっくりと自動車は加速を始めた。
道を行くのは歩行者や人力車、大八車に馬車、それとこれもゲルマニアから導入したという路面電車。
自動車は見かけなかった。
むしろ人々が物珍しげにこちらを見ている。
そして郊外へ出ると、市街地ほど道は滑らかでなく、がたごとと揺れながらしばらく走り、ほどなくして周囲の農地の向こうに、兵舎や監視塔、倉庫などらしいものが見えてきた。どうやらあれが基地らしい。
「まもなく大里基地に入ります。」
営門で停車し、昇と恵は身分証を提示して確認を受けた後、大里基地へ走りこんだ。
「こちらが司令部棟です。」
基地内をしばらく走ると、前に草地を固めた広い道が見えてきた。
「向こうの広い道は滑走路です。」
司令部棟へ向かう自動車を、基地の守備兵も珍しげに眺めている。
ぐぅおおおおお〜〜〜ん!!

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