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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 95

「ありがとうございます…」
桜の了承を得た雪乃は深々と一礼した。さらに後ろに立つメイド達のうちの二人に指示を出す。
「お前達は芙蓉を控え室に運びなさい」
「分かりました。雪乃様…」
どうやって芙蓉を運ぶのかと洋介が見ていると、折りたたんだ器具を持ったメイドが前に進み出た。器具を床に置いて広げると、それは一つの担架になった。
「…………」
あっけに取られる洋介の傍らに、担架を置いたメイドともう一人が登ってきた。二人がかりで芙蓉の体を持ち上げて運び、担架の上へと移動させる。
さらに担架を持ち上げ、部屋の外へと出て行こうとした。
「「では失礼いたします…」」
「ええ…頼みますわよ」
雪乃は芙蓉を運び出す二人のメイドに何やら目配せをした。だが雪乃に背中を向けられている洋介や桜、菫はそれに気付かない。担架を担いだ二人はやけに慌しく部屋を出て行った。
「それではどうぞこちらへ。洋介様…」
「はい…ってうおあっ!」
雪乃に(今度は腕ずくでなく)誘われ、ベッドから降りようと立ち上がった洋介はあるものを見つけて驚愕した。ベッドの下にもう一人全裸の女性がいるのである。
誰も教えてくれなかったので(少なくとも雪乃達からは見えていたはずである)今まで気付かなかったのだ。
彼女は俗に言うマ○グリ返しの体勢のまま眠っている。股間からは赤い血の糸が一筋流れており、つい先程純潔を失ったものらしいと想像できた。
「あの、彼女は…?」
洋介はベッドを降り、全裸の女性を普通の仰向けにしながら雪乃に尋ねた。洋介に触れられた彼女がピクリと動くが、誰もそのことに気付かない。
「ああ、その女ですか…」
問いかけられた雪乃は、今初めてその女性に気付いたような声を出す。
「この者はベッドメイク係の紅葉ですわ。大方仕事をサボって自分を慰めているうちに眠ってしまったんでしょう。はしたない」
「で、でもあそこから血が」
「全くいじりすぎですわね。いくら洋介様に相手にしてもらえないからって…」
「…………」
雪乃の断定口調の前に、洋介は黙りこくった。だがひょっとして、この紅葉さんも自分に処女を捧げてくれたんじゃないだろうかと洋介は内心思う。確証はなかったが。
もっともその時、紅葉の握り締めた拳がかすかに震えていることには、またもや洋介を始め誰一人気づかなかった。
「そんなことより洋介様、早くこちらにいらしてくださいまし」
「は、はい…」
紅葉のことが気になる洋介だったが、急かされて雪乃の前に立った。手を広げて体を拭きやすいようにする。
「お気遣いありがとうございます、洋介様。失礼いたします…」
雪乃はメイドの一人からバスタオルを受け取ると、おもむろに洋介の体を拭い始めた。
シュッ、シュッ…
雪乃はまず洋介の胸板を丹念に拭いていった。あまりに丹念過ぎてなかなか拭き終わらない。
「雪乃さん、そんなに丁寧にやらなくても」
「洋介様は黙っていてくださいまし」

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