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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 94

どういうご用件ですかと聞こうとした洋介だったが、乱入して来たメイド達の持っているものを見てハッとなった。彼女達はそれぞれ洗面器だのバスタオルだの妙な形をした椅子だの、入浴に関係ありそうなものを捧げ持っているのだ。
もっとも一人だけは何か分からない折りたたんだ器具を持ち、また何も持っていないメイドも一人いたが。
(どう見ても風呂の支度だ…俺がシャワーを浴びたがってるって雪乃さん達はどうして分かったんだろ?)
怪しむ洋介を尻目に雪乃が口を開いた。
「洋介様…目覚まし係のメイドが参ったと思いますが、彼女はしっかりと洋介様を起こしましたでしょうか?」
目覚まし係りというのは芙蓉のことだろうか。確かに洋介を目覚めさせるという点においては、彼女は立派に役目を果たしたと言えない事もないが…
「え、ええ。おかげさまで寝覚めすっきりですよ…もう心臓が止まるかと思ったくらい」
「まあ。それは何よりですわ」
洋介としては皮肉で返したつもりだったのだが、戦艦の装甲並みに頑丈な雪乃の面の皮の前にいともたやすく弾き返された。
「あの、それで、どういう用件で…?」
言わずもがなだが、洋介は一応聞いた。
「はい。洋介様に朝のお風呂を召していただこうと思って参ったのですわ。ひょっとしてお体が汚れていらっしゃるのではないかと思いまして」
「どうして俺が体を汚していると…?」
「なぜって、芙蓉が朝飲むお茶に超強力な利尿剤を入れ…ゴホゴホ。いえ、洋介様が体中に誰かのお小水を掛けられる夢を見たのですわ。もしや正夢ではないかと思いまして」
「そうですか…」
洋介はもはや雪乃の言葉に突っ込まなかった。百パーセント無駄だと学習したのだ。
「では参りましょう。洋介様」
雪乃はベッドの上に駆け上ると芙蓉の体を押しのけて洋介の腕を掴んだ。そのままグイグイ引っ張って彼をベッドから引きずり下ろそうとする。
「「待ちなさい!」」
それを見て声を張り上げたのは桜と菫だった。雪乃が動きを止めて二人の方を見る。
「どうかされました、桜様、菫様?」
「ごめんなさいね、雪乃」
「と申されますと、桜様?」
「これから私達で洋ちゃんをお風呂に入れてあげるところなの。だから雪乃はまた今度にして」
「!!」
桜がそう言った瞬間、怒りのあまりか洋介の手首を掴む雪乃の手に凄まじい力が入った。
洋介の手の骨が音を立ててきしみ、彼は一瞬粉砕骨折を覚悟する。
(くお…これか、これが握撃というやつか!)
「そうですか…分かりましたわ。桜様、菫様」
しかし雪乃はあっさりと引き下った。洋介の手を放してベッドから降りる。洋介は痛みの残る手首を動かしてみたが、幸い折れていなかった。
そんな洋介の様子を知ってか知らずか、雪乃は桜に妥協案を持ちかけた。
「ですが…せめて洋介様のお体だけでもわたくしに拭かせていただけないでしょうか…?いくらなんでもそのままでは…」
「まあ、それくらいなら…」

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