PiPi's World 投稿小説

華が香るとき
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 8
 10
の最後へ

華が香るとき 10

それはさておき、彼女達が来たのを幸い洋介はおもむろに話を切り出した。
「あの…ちょっといいかな?」
「何ですか?洋介さん」
女ボスが答える。
「実はその…オシッコが出そうになっちゃって…できればこれを解いてトイレに行かせてほしいんだけど…」
「あら、ごめんなさいね。気が付かなくって」
これを聞いた洋介はトイレには行かせてもらえそうだと安堵した。しかし女ボスはメイドの一人に「あれを持ってきて」とわけの分からない命令をする。途端に洋介は不安になった。
命じられて部屋から出て行ったメイドは何か白い大きなものを抱えて戻って来る。床の上に置かれたそれを見て洋介は落胆したような声を出した。
「おまるじゃん…」
そう。それは正真正銘のおまるだった。まだ普通のトイレを使えない幼児が排泄の時に使用するあれである。
ご丁寧にアヒルの形をしたそれを見ているうちに洋介は妙なことに気が付いた。
サイズがおかしいのだ。どう見ても幼児用のものではなく大人が使うことを念頭に置いた大きさである。
「これは…?」
「洋介さんのために特別に作らせたんですよ」
「な…」
洋介は絶句した。自分に使わせるためだけにわざわざおまる一つをどこぞのメーカーに発注したというのか。
「どうぞ。使ってください」
「どうぞって…」
そのおまるを使っている自分の姿を想像した洋介は、恥ずかしさのあまり真っ赤になった。
「あのさ…俺もう高校行ってるんだけど…」
「知っていますよ。それが何か?」
女ボスが答えた。何が問題なのか理解できないという感じだ。
「あの、こんなんじゃなくて普通のトイレに行かせてほしいんだけど…」
「何を言ってるんですか、洋介さん。これは逃げ出そうとしたことに対する罰です」
女ボスはその言葉の内容と裏腹に、非常なにこやかさで答えた。
「罰…?」
「そうです。あの時洋介さんはトイレに行くと言って私を欺きました。その罰としてこの船のトイレは使わせません。このおまるを使ってここで用を足してもらいます」
「くっ…」
洋介は歯噛みした。あらかじめ用意しておいた以上、洋介が逃げ出そうが逃げ出すまいが何のかんのと理由を付けて使わせるつもりだったに違いない。洋介の行動はわざわざ向こうの手間を省かせて格好の口実を与えるものだったのだ。しかし――
(まだだ。まだ終わらんよ…)
洋介は口を開く。
「あのさ、仮に、仮にこのおまるを使うとしてだよ?終わったら自分で中身をトイレに捨てに行かなきゃいけないよね?だったら結局最初からトイレに行くのと同じじゃないかな?」
我ながら屁理屈だと洋介は思った。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す