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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 90

ベッドの上にいるのは洋介だけではなかった。複数の人影が皆一糸まとわぬ姿で横たわっている。それを見たメイドの表情がわずかに曇るが、やがて洋介に向かって声を掛け始めた。
「…洋介様。朝でございます。お目覚めくださいませ」
どうやら彼女は洋介を起こす為に部屋に入ってきたらしい。だがその呼びかけの声は聴力試験でもやっているのかと思われるほど、小さく聞き取り辛かった。
「…洋介様。朝でございます。お目覚めくださいませ」
メイドは一度目と全く同じ大きさの声で繰り返した。もはや本気で起こす気があるのか疑わしい。
「はあ…これだけやっても起きて下さいませんか。やむを得ませんね…」
やたら白々しい声でつぶやくと、メイドは何を思ったのかいきなり服を脱ぎ始めた。あっと言う間に全裸になり、そのままベッドの上へと登っていく。
「悪く思わないでね。紅葉…」
横たわる洋介の上に紅葉が覆いかぶさっている。ツインテールのメイドは紅葉の上にさらに覆いかぶさるようにした。紅葉の両脇にそれぞれ手を入れ、ゆっくりと洋介から引き剥がしていく。
「そいやっ!そいやっ!」
その掛け声は先程洋介に向かって呼びかけた声とは比較にならないほど大きくやかましかった。だが幸か不幸か、洋介を始め眠りについている者達が目を覚ます気配はまるでない。
ツインテールは紅葉をベッドの端まで引き摺っていった。さらに上半身からお尻までをベッドの縁からはみ出させると、ドスンと音を立てて体が床に落っこちる。
「これでよし」
ツインテールは紅葉の体から手を離した。そして自分は再びベッドに登る。そして…



洋介が目を覚ますと、世界は激しく振動していた。
ギシギシギシギシ!ガクガクガクガク!
「うおああああっ!これはっ!?」
決して寝覚めが良い方ではない洋介だったが、一発で眠気が吹っ飛んだ。すわ、地震か海底火山の活動か。咄嗟に飛び起きようとするが、何としたことか体が動かない。
(嘘だろ!こんな時に限って金縛りか!)
洋介の全身の毛穴という毛穴から冷や汗が噴き出した。助けてくれと叫びたいが口までが思うように動かない。
「ああっ!あっ、あっ!あああああん!」
近くにいる誰か女性が悲鳴を上げている。この揺れでは無理もない。しかし一体誰だろうか?
「ああああ!ああん!洋介様っ!気持ちいいっ!」
(え!?気持ちいい!?)
不審に思った洋介は声のする方、すなわち自分の腰の方に目をやってみた。そして再び驚愕した。メイドのカチューシャだけを着けたツインテールの全裸女性が洋介の股間にまたがって腰を振っていたのである。
「えっ?ええっ!?」
(地震じゃなかった!寝込みを襲われていたんだ!)
状況が知れて洋介の心から恐怖心が消えていった。

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