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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 86

何も起きなかった…。
洋介はガックリと肩を落とし、夢遊病の様にとぼとぼとドアの所まで行き、ドアノブに手をかける。
無論、そのままではドアは開く事はないのだが、放心状態の洋介は無意識の内に「爺ちゃん……、勘弁してくれよ…」と言った。
そうすると「爺ちゃん……」を言い終えた所で、ドアが「カチャ」という音がして、ドアの鍵が開いてしまった。
洋介は未だに放心状態であるので、その事には気付かずにそのままドアを開け、廊下に戻る。
洋介が部屋を出ると、ドアの鍵は再び閉まってしまうのであった。
 
 
放心状態の洋介は、夢遊病の様に廊下を彷徨っていた。
今の洋介を見ていると、どこからか「あ〜る〜はれた〜ひるさがり〜いちばへつづ〜くみち〜」と聞こえてきそうだ。
そして、不思議な事に先程まであれだけ迷っていた自分の部屋まで戻り、ベットに倒れこみ「もう疲れた…、今日はもう寝よう」、と言い布団を被って寝てしまった。
 
 
実は洋介の部屋には、洋介のベットをベットメイキングしていたメイドが一人いたのだが、洋介はそのメイドには気付かずに真横を通り過ぎ、ベットに寝てしまった。
そのメイドは「琴坂 紅葉」と言うのだが、歓迎会の時洋介とあまり話が出来ずに落ち込んでいた。
その落ち込みようは凄いもので、その様子を見たメイドは体を壊してしまうのではないかと思う位落ち込んでいた。
そこへ偶々紅葉の様子を見かけた、桜が「どうしたの?」と事情を聞き、特別な計らいで洋介の今日の部屋係にしてくれたのであった。
しかし、洋介が部屋に入ってきたかと思うと、紅葉が洋介に声をかける間もなく洋介が寝てしまった。
紅葉としては折角桜が取り計らってくれたので、今日こそ「処女卒業」の日にしようと意を決していたのだが、洋介がこんな様子である。
折角、一世一代の覚悟をこんな形で裏切られるとは…
しかも追い討ちをかけるように洋介はとうとう鼾までかき始めてしまった。
紅葉は(洋介様のばか〜!!)と心の中で叫んだが、生まれつきの引っ込み思案な性格と、寝ているとはいえ相手が洋介なので声を出して言う事はできない。

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