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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 69

洋介が今泣いているのは、菫の胸の中である。
菫は洋介に心配をさせて申し訳なく思っていたのだが、この様な洋介の姿を見てそんな気持ちを忘れ、母性本能をくすぐられていた。
(洋介さん…、何てお優しい方なんでしょう…。それに何て可愛い方なんでしょう…。
私は洋介さんをお慕いできた事を誇りに思いますわ。私は洋介さんの為なら命をも惜しみませんわ。どうか洋介さん…、一生菫の側にいて下さいね……叔母・甥という関係ですが、洋介さんは私の息子の様なもの。息子を守るのが母の務めですからね…)
と、菫は心の中で思い、一人顔を赤くするのであった。


あれから暫くして、洋介はやっと落ち着いた様だ。
「あの…、菫さん。本当にすみませんでした」
洋介が菫の胸の中でこう答えると、菫は一層腕に力をいれて、微笑ながら答える。
「いいえ、とんでもございませんわ…。それに菫の方も洋介さんに謝らなくてはなりませんね。洋介さん…、心配をお掛けして本当に申し訳ございませんでした。まず、菫がそそのかしいばかりに洋介さんに痛い思いをさせてしまって…。
それにその後、洋介さんが折角菫の口に出して下さったのに、気を失ってしまって…。菫は駄目な女ですね。どうかこんな菫をお許し下さい…」
菫はそう言うと深々とこうべを垂れる。
洋介は、そんな菫がいとおしく思い、菫に抱かれている顔を一層深く胸に埋めるのであった。


そんな2人の姿を周りで複雑な顔で見る者達がいた。
椿、リナリア、桔梗、真木の4人は複雑な表情をしていた。
先程、自分達の事しか考えなかったとはいえ、その結果菫が意識を失い今の状態になってしまった。
4人は自分達が逃げてしまった事を深く反省しつつも、最愛の洋介様が、尊敬している菫であるとはいえ、菫一人の物になっているのがあまり面白くは無かった。

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