PiPi's World 投稿小説

華が香るとき
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 35
 37
の最後へ

華が香るとき 37

「雪乃さん!」
つい大声が出てしまった。
「なんでしょうか、洋介様?」
さすがに気が付いたらしい。雪乃は身振り付き一人語りを止めて洋介に向き直った。
「雪乃さん…心配しなくても大丈夫です」
「と言いますと?」
洋介の言葉に雪乃は問い返した。何故か口元が歪んでいる。
「俺から桜さん達に全部話しますから…」
「はい?」
雪乃は今度は露骨に眉をひそめた。
「雪乃さんは警察に被害届、出してください。俺、懲役に行って来ます。皆さんには二度とお目にかかりません」
「な…」
雪乃は絶句した。
洋介は彼女の沈黙を了承と受け取る。ふら付きながら立ち上がり、遅ればせながらペ○スをズボンの中にしまった。
「それじゃ行って来ます。雪乃さんはここにいてください」
洋介は扉の取っ手に手を掛けた。やはり気分は重い。
(これで俺も前科一犯か。父さんも嘆くだろうな…こんなことならあの船のスクリューでコマ切れにされてればよかった。これからの人生どう生きよう?フランス外人部隊ってまだ前科者でも入れたっけか?)
だが突如、洋介の背後で大声が上がった。
「待てやこのボケェ!」
「え?」
振り向こうとした洋介は物凄い力で肩が掴まれ、後ろに引っ張られるのを感じた。踏ん張る間もなく倒れてしまう。
「うあっ!?」
ドターン!
危ういところで顎を引いて受身を取るが、一歩間違えば頭を強打していたところである。
「雪乃さん、何を?それに何だか凄いこと言ってたような…」
「申し訳ありません、洋介様!お怪我はございませんか!?」
「いや、大丈夫ですけど…」
暴行は素直に謝罪し、暴言は華麗になかったことにする雪乃。そんな雪乃に支えられ、洋介はよろよろと立ち上がった。
「とにかくこちらへ」
「はい…」
雪乃は洋介を先程のテーブルまで連れて行き、椅子に座らせた。彼女自身も洋介の隣に座る。
「洋介様…」
雪乃は洋介の目を覗き込み、彼に話しかけた。
「はい…」
洋介は雪乃の方を見ないで返事をした。彼女の乳房と股間が未だに丸出しのままだったからである。どういうつもりか彼女はいつまで経っても隠そうとしないのだ。
「洋介様…今起きたことはわたくし達だけの秘密にしましょう」
「え!?」
思いがけないことを雪乃に言われ、洋介は思わず彼女の方を向いた。乳房が目に入ってしまい、慌てて目をそらす。
「で、でもこういうことはきちんと決着付けた方がいいんじゃ…」
「いいえ。わたくしさえ我慢すれば済むことですわ」
「でもそれじゃこっちの気が済みません…」
「それがこっちの狙い…ゲフンゲフン。とにかく洋介様が罰をお受けになる必要はありません」
「しかし…」
「それではそのお気持ちを形にしていただけませんか?そうしていただければ、それだけでわたくしはこれからも洋介様にお仕えできます」
なるほど、と洋介は思った。つまり慰謝料を払ってほしいということだろう。示談で済ませてくれるというわけだ。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す