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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 30

「え?あ、いやそのっ」
洋介はびっくりした。あまり口に出しては言いにくいことを考えていたところに、それを見透かされたかのように雪乃から話しかけられたからだ。
「えっと、その…」
洋介が雪乃の方に顔を向けると、彼女は何故か何かを期待するように目を輝かせていた。少し不審に思いながらも慌てて取り繕う。
「何でもないです。ちょっと考え事してただけで…」
と言いながら、洋介は勃起したペ○スを隠すように雪乃に背中を向けた。それを見た彼女が落胆したような表情になり、小声で吐き捨てる。
「ケッ、意気地なし…」
「えっ?何ですって?」
その言葉が耳に届かなかった洋介は聞き返したが、雪乃は平然と話題をずらした。
「何でもありませんわ。それよりも実はお茶をお持ちしていたんですのよ。洋介様の自慰をお手伝いするうちにすっかり忘れてしまいましたけど…よろしかったら冷める前に召し上がっていただけません?」
それを聞くと洋介はまた顔から火が出そうになった。しかし雪乃がわざわざ自分のために淹れてくれたお茶と聞けば飲まない手はない。迷うことなく「いただきます」と返答した。
「しばらくお待ちくださいませ。今ご用意いたしますわ」
「はい…」
雪乃は立ち上がり、一度部屋の外に出るとすぐにワゴンを押して戻ってきた。ワゴンの上にはティーセットが置かれている。磁器のティーポットにティーカップ。さらにミルクポットとシュガーポットもある。それらの形の上品さと言い絵柄の凝り具合と言い、とてもそこらのデパートで安く入手できる品物ではないだろう。
(これだけの食器でお茶を飲むのに下半身丸出しというのも品のない話だな)
と洋介は思った。
雪乃がテーブルの上にティーカップを置き紅茶を注いでいる間にズボンとパンツを上げ、勃起したままのペ○スをどうにかしまいこむ。
紅茶にミルクと砂糖を入れてかき混ぜ終わると、雪乃はテーブルの席を引いて洋介を誘った。
「こちらへどうぞ。洋介様」
「はい…」
言われるままに洋介は席に着いた。座ると何とも言えない紅茶の香りが鼻をくすぐる。
(紅茶ってこんなにいい匂いのするものだったかな?)
手を伸ばしてカップの取っ手をつまむ。カップを鼻に近づけるとさらに香りが強く感じられた。
「雪乃さん。このお茶は…」
「ゴチャゴチャ言ってないでとっとと飲めや」
「え?何ですって?」
「何でもありませんわ。冷めないうちにお召し上がりくださいまし。さ、どうぞ」
「は、はい…」
洋介はカップを口に付け、中の液体を一口すすった。
「ああ…」
思わずため息が漏れた。実に美味である。もとより彼に紅茶の銘柄など分かるはずもないが、きっと高級な葉を使っているのだろう。無論それだけでなく淹れ方にも熟練の技巧が凝らされているのに違いない。ミルクと砂糖の入れ方もまた申し分なかった。

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